住宅改修で変わること

「まだ大丈夫だから」と思って先延ばしにしている間に、転倒・骨折が起きるケースは少なくありません。高齢者の転倒事故の約半数は自宅内で起こっており、特に浴室・トイレ・廊下での事故が多いことがわかっています。

住宅改修は「介護が必要になったからするもの」ではなく、介護が重くなる前に行うことで最も効果を発揮します。手すりを1本つけるだけで入浴が自立して行えるようになった、段差を解消したら歩行器での移動がスムーズになった——小さな改修が、本人の自立度と家族の介護負担に大きな差をもたらします。

住宅改修で期待できる効果
  • 転倒・骨折リスクの低減:手すり設置・段差解消で「ヒヤリハット」が激減
  • 本人の自立度向上:入浴・トイレを1人で行える期間が延びる
  • 介護者の身体的負担軽減:介助が必要な場面を減らせる
  • 施設入所の先送り:住環境を整えることで在宅介護を長く続けられる

介護保険の住宅改修費補助金とは

介護保険には、自宅のバリアフリー改修に使える「住宅改修費補助金」という制度があります。要介護(要支援)認定を受けている方が対象で、改修費用の最大20万円を保険でカバーできます。

介護保険 住宅改修費補助金の概要
最大20万円
・自己負担:1割(最大2万円)/ 2割(最大4万円)/ 3割(最大6万円)
・対象:要支援1〜2、要介護1〜5の認定者すべて
・利用回数:同一住宅・同一人物につき原則1回限り
・例外:要介護度が3段階以上重くなった場合や転居した場合は再利用可
・手続き:工事前の事前申請が必須(工事後の申請は原則認められない)
⚠️ 必ず工事前に申請してください。工事が終わってから申請しても補助は受けられません。ケアマネジャーに事前相談→市区町村に事前申告→工事完了後に費用を請求する流れが必須です。「工事してから申請できる」と言う業者の言葉を信じないようにしてください。

場所別・改修優先度ガイド

「どこから改修すればいいかわからない」という声をよく聞きます。転倒リスク・使用頻度・費用対効果の3点から、改修すべき場所の優先度を整理しました。

🛁 浴室 最優先
転倒死亡事故が最も多い場所。床の滑り止め・浴槽横の手すり・洗い場の段差解消が有効。濡れた床は特に危険。
🚽 トイレ 最優先
1日複数回使う場所。立ち座りの手すり・和式→洋式変更で自立度が大きく変わる。夜間利用も多く転倒リスクが高い。
🚪 玄関 最優先
段差・靴の脱ぎ履き・引き戸への変更が有効。外出意欲に直結するため、早期の改修が在宅生活延長につながる。
🏠 廊下 次に優先
寝室〜トイレ間の動線が重要。暗い夜間の移動が最も危険。廊下手すりと滑りにくい床材の変更が効果的。
🛏 寝室 次に優先
立ち上がり補助の手すり設置。床からベッドへの変更は「福祉用具貸与」で対応できる場合も。
階段 次に優先
両側手すりの設置が理想。費用は高めだが転落時のリスクが非常に大きいため優先度も高い。
💡 すべて一度にやろうとしない:補助上限は20万円。まず最もリスクの高い「浴室+トイレ」から始め、余裕があれば廊下・玄関の順で検討しましょう。ケアマネジャーが本人の状態に合わせて優先箇所を一緒に考えてくれます。

補助対象になる工事・ならない工事

介護保険の住宅改修費は、対象となる工事の種類が法律で定められています。「介護のための改修」であっても種類によっては対象外になるため注意が必要です。

補助対象になる工事(6種類)

手すりの取り付け
廊下・浴室・トイレ・玄関・階段など
段差の解消
屋内・玄関・浴室などの段差をなくす
滑り止め・床材変更
浴室・廊下の床を滑りにくい素材に
引き戸への扉変更
開き戸を引き戸・折り戸などに変更
洋式トイレへの変更
和式トイレを洋式に変更
上記工事に伴う付帯工事
壁の補強など改修に必要な工事

補助対象にならない工事(例)

浴槽の取り替え(手すり設置の付帯工事としてでない単体の交換)
介護用ベッドの設置(福祉用具貸与で対応)
エアコン・換気扇の設置
屋外のスロープ(屋内は対象になる場合も)
💡 浴槽の交換や大規模なリフォームは介護保険では対象外ですが、自治体独自の補助制度がある場合があります。また、工事不要の据え置き型手すりは「特定福祉用具販売」として購入費が補助されます(上限10万円・1〜3割負担)。

工事別の費用目安

以下は一般的な介護リフォームの費用相場です。複数の工事をまとめて行うと合計が20万円を超える場合があります。優先順位をつけて計画しましょう。

工事の種類 費用相場 自己負担(1割)
手すり設置(1ヶ所) 1〜3万円 1,000〜3,000円
手すり設置(廊下全体) 5〜15万円 5,000〜15,000円
段差解消(玄関1ヶ所) 3〜10万円 3,000〜10,000円
浴室床の滑り止め工事 3〜8万円 3,000〜8,000円
開き戸→引き戸への変更 5〜15万円 5,000〜15,000円
和式→洋式トイレへの変更 10〜20万円 10,000〜20,000円

手すりの設置と浴室の滑り止めだけなら5〜10万円程度に収まることが多く、実質負担は数千円〜1万円台で対応できるケースが多いです。20万円の枠を使い切る必要はありません。今の状態に合わせて必要な箇所から始めるのが賢い使い方です。

🛒
PR
介護用手すり・滑り止めグッズを楽天で比較
工事不要の据え置き手すり・浴室滑り止めマット・スロープなど、すぐ使えるリフォームグッズが揃っています。
楽天で価格・口コミを見る →

20万円をどう使う?配分シミュレーション

「20万円をどこにどう使えばいいのか迷う」という方に向けて、よく選ばれる3つの組み合わせプランをまとめました。今の状態・リスクの高さ・残りの補助枠を考えて選んでください。

プランA:転倒予防ファースト
  • 浴室手すり×2ヶ所:約4万円
  • 浴室床の滑り止め:約5万円
  • トイレ手すり×1ヶ所:約2万円
合計:約11万円
残り枠:約9万円(追加工事余裕あり)
プランB:自立生活延長プラン
  • 浴室手すり+滑り止め:約8万円
  • 玄関段差解消:約5万円
  • 廊下手すり(全体):約8万円
合計:約21万円
※超過分1万円は自己負担/要優先度調整
プランC:フル活用プラン
  • 浴室改修一式:約8万円
  • 玄関引き戸変更:約8万円
  • 廊下手すり:約4万円
合計:約20万円
補助上限フル活用・自己負担最小
💡 「余ったら損」は誤解です:20万円を使い切ることが目的ではありません。今の状態に本当に必要な場所だけ改修し、残った枠は「要介護度が上がったとき」や「転居したとき」に再申請できるよう温存する考え方もあります。ケアマネジャーと相談して決めましょう。

申請の手順(5ステップ)

住宅改修の手続きは「工事前の申請→工事→完了後の請求」という流れです。ケアマネジャーが一緒に動いてくれるため、難しくはありません。

1
ケアマネジャーに相談する
「住宅改修を検討したい」と伝えましょう。改修の必要性を確認してもらい、理由書(改修が必要な理由を記載した書類)を作成してもらいます。この書類は申請に必須です。ケアマネがいない場合は地域包括支援センターに相談を。
2
施工業者に見積もりを取る(複数社)
2〜3社から相見積もりを取ることをおすすめします。介護リフォームに慣れた業者は「この工事は介護保険対象か」を把握しているため、ケアマネや地域包括支援センターに紹介してもらうのが最も安心です。
3
市区町村に事前申請する(工事前!)
必要書類(住宅改修費支給申請書・理由書・見積書・改修箇所の図面・写真など)を市区町村の介護保険窓口に提出します。承認が下りてから工事開始が原則です。賃貸の場合は大家の承諾書も必要。
4
工事を実施する
市区町村から承認が下りたら、業者に工事を依頼します。工事中・完了後の写真を撮影しておきましょう(請求書類に必要になります)。
5
完了後に費用を請求する
工事完了後、領収書・完成写真などを添えて市区町村に請求書を提出します。支給決定後、費用の7〜9割が還付されます。
「受領委任払い」を使えば最初から自己負担分だけでOK

通常は一度全額を業者に支払い、後から7〜9割が戻ってくる「償還払い」ですが、多くの自治体では「受領委任払い」も利用できます。受領委任払いに対応している場合、最初から自己負担分(1〜3割)だけ支払えばよく、まとまった現金を用意する必要がありません。ケアマネジャーか市区町村に「受領委任払いは使えますか?」と確認してみてください。

申請の注意点まとめ
  • 申請は工事前に必ず行う(事後申請は原則認められない)
  • 要介護認定を受けていることが前提(未申請の場合は先に申請を)
  • 同じ住宅・同一人物への支給は20万円が上限
  • 賃貸住宅の場合は大家の承諾書が必要

業者の選び方・注意点

介護リフォームの需要が増えるにつれ、高齢者をターゲットにした悪質な業者も増加しています。正しい業者の選び方を知っておくことが大切です。

信頼できる業者の選び方

ケアマネや地域包括支援センターに紹介してもらう
「介護リフォーム」の実績・写真を見せてもらえる
2〜3社から相見積もりを取って比較する
補助金申請手続きを一緒にサポートしてくれる
工事内容・費用を書面で明示してくれる
突然の訪問販売ではなく、自分で調べて選んだ業者

こんな業者には注意

「工事してから申請できる」と言う(事後申請は原則不可)
「介護保険で全額カバーできる」と言う(20万円超は自己負担)
「今日だけの特別価格」など急かして契約を迫る
書面を見せないまま口頭だけで説明して署名を求める
自治体への申請を「任せておけばいい」と曖昧にする
⚠️ 「無料点検」を名目に訪問し、不必要な工事を高額で契約させる手口が報告されています。自分から探した業者ではない場合は、その場でサインせず、ケアマネまたは地域包括支援センターに相談してから判断しましょう。

実際にリフォームした人の体験談

👴
田辺正夫さん(仮名)・70歳・自宅介護中 妻(67歳・要介護1・パーキンソン病)を介護。

妻がパーキンソン病になってから、廊下とトイレの移動が一番心配でした。転倒したら骨折して一気に悪化しますから。ケアマネさんに相談して補助金を使い、トイレと浴室に手すりを3本設置しました。それ以来、転びそうになることがほぼなくなりました。工事費の自己負担は2万円ほど。「もっと早くやっておけばよかった」と2人で話しています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

👩
山口洋子さん(仮名)・62歳・介護歴3年 85歳の父(要介護2)を自宅で介護。浴室リフォームで父が一人で入浴できるように。

父の入浴介助が毎日つらくて、私の腰もボロボロでした。ケアマネさんから「浴室の段差解消と手すり設置をすれば、お父さんが一人で入れるようになるかもしれない」と言われて、半信半疑で試しました。工事後、本人が「自分でできる」と言い出したときは感動しました。父の尊厳も守れて、私の体も楽になって、20万円の補助をフルに使った甲斐がありました。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

👨‍💼
中川浩二さん(仮名)・55歳・会社員 母(78歳・要介護1)の介護。業者選びで失敗しかけた経験。

最初、飛び込みで来た業者に「今なら安くできる」と言われて契約しそうになりました。でも「一晩考えたい」と言ったら急に態度が変わって、これはおかしいと気づきました。ケアマネさんに相談したら「介護リフォームに慣れた業者を紹介できます」と言ってもらえて、そちらに依頼。補助金申請も全部サポートしてくれて、安心して工事できました。最初の業者は倍以上の見積もりを出していたと後でわかりました。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

広告
FP無料相談|保険マンモス

リフォーム費用だけじゃない。
介護費全体、備えていますか?

住宅改修は補助金で賄えても、月8〜20万円の在宅介護費や施設費用は別途かかります。今の貯蓄で足りるか、ファイナンシャルプランナーに無料で確認してみましょう。

✅ 顧客満足度95%のFP無料相談
✅ 相談料0円・強引な勧誘なし・秘密厳守
✅ オンライン・対面どちらでも対応
FPに無料相談する(0円)→
※ 相談料0円・秘密厳守・しつこい勧誘なし

介護保険以外の補助制度

自治体独自の補助・助成金

多くの市区町村が、介護保険の住宅改修に上乗せできる独自補助を設けています。金額・条件は自治体によって異なるため、市区町村の福祉窓口か地域包括支援センターに確認してください。介護保険の20万円と併用できる自治体も多く、合わせて活用することで自己負担をさらに減らせます。

バリアフリー改修促進税制

50歳以上の方、または要介護認定者が同居する住宅のバリアフリーリフォームに対して、所得税の控除や固定資産税の減額が受けられる制度です。改修費用が50万円を超える場合に特に有効です。詳しくは市区町村窓口や税務署に確認を。

福祉用具の貸与・購入補助

スロープ・歩行器・車椅子などは「福祉用具貸与」として介護保険で月額1〜3割負担でレンタル可能です。手すり(工事不要な据え置き型)や簡易スロープは「特定福祉用具販売」として購入費10万円まで補助されます(自己負担1〜3割)。

💡 住宅改修 vs 福祉用具の使い分け:工事が必要な手すりは「住宅改修」の対象。工事なしで設置できる据え置き型手すりは「特定福祉用具販売」の対象。両方の補助を組み合わせることで、より充実した環境を整えられます。

よくある質問

住宅改修費の補助は何回でも使えますか?
原則1回(上限20万円)です。ただし、要介護度が3段階以上重くなった場合(例:要介護1→要介護4)や、引越しをした場合は再度利用できます。一度使い切ると追加の補助は受けられないため、複数の工事を計画する際は優先順位を慎重に決めてください。
リフォーム費用が20万円を超えた場合はどうなりますか?
20万円を超えた分は全額自己負担になります。例えば合計25万円の工事をした場合、20万円分は保険対象(自己負担1〜3割)、超過した5万円は全額自己負担です。予算を超えそうな場合は、自治体独自の補助制度を組み合わせるか、今回は優先度の高い工事に絞ることを検討しましょう。
賃貸住宅でも介護リフォームの補助を受けられますか?
受けられます。ただし、大家(家主)の承諾書が必要です。工事前に大家に許可を得て、承諾書を市区町村への申請書類に添付してください。原状回復が必要な賃貸では、工事後の復旧費用について大家と事前に取り決めておくことも大切です。
工事が終わってから申請するとどうなりますか?
原則として補助は受けられません。介護保険の住宅改修費は「工事前の事前申請」が必須です。業者に「工事してから申請できる」と言われた場合は誤りです。必ずケアマネジャーに相談し、事前申請を経てから工事を開始してください。
要支援1でも住宅改修の補助は受けられますか?
はい、受けられます。介護保険の住宅改修費補助は、要支援1・2、要介護1〜5のすべての認定者が対象です。要支援の方でも転倒予防のための手すり設置や段差解消は有効ですので、担当の地域包括支援センターに相談してみてください。早めに手を打つほど効果的です。
自治体の独自補助と介護保険の住宅改修費は同時に使えますか?
多くの自治体では併用可能です。介護保険の20万円を使いながら、自治体独自の上乗せ補助を同時に申請できるケースがあります。ただし条件・金額は自治体によって大きく異なるため、市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターに「上乗せ補助はありますか?」と確認することをおすすめします。

エリア別に施設・サービスを探す

在宅介護を長く続けるためには、住宅改修に加えてデイサービスや訪問介護などのサービスを組み合わせることが重要です。お住まいのエリアの施設・サービスを確認してみましょう。

🛒
PR
介護用品・福祉用具を楽天市場で
介護ベッド・ポータブルトイレ・車椅子・歩行器など、在宅介護に必要な用品をまとめて比較・購入できます。
楽天で価格・口コミを見る →

まとめ

介護リフォーム・補助金のポイント

  1. 介護保険の住宅改修費補助金は最大20万円・自己負担1〜3割(要支援1からOK)
  2. 改修優先度:浴室・トイレ・玄関から始め、廊下→寝室→階段の順で検討
  3. 20万円は使い切ることが目的ではなく、状態に合わせた配分が大切
  4. 申請は必ず工事前に実施。ケアマネジャーへの相談が第一歩
  5. 「受領委任払い」対応の自治体では、まとまった現金を用意せず自己負担分だけで工事できる
  6. 業者選びはケアマネ・地域包括支援センターに紹介してもらうのが最も安全

住宅改修は「必要になってから」ではなく、転倒する前・介護が重くなる前に行うのが最も効果的です。まずはケアマネジャーへの相談から始めましょう。

施設・在宅サービスを探してみませんか

住宅改修と並行して、利用できる介護サービスを確認しましょう。どちらも登録不要・完全無料です。

みんなの介護で施設を検索 →
イチロウ|介護保険外の在宅サービス
住宅改修後も在宅介護を続けたい方に。24時間365日対応のオーダーメイドサポート。
在宅ケア相談(PR)→
※イチロウはPR(広告)です
参考・出典
※本記事の費用・制度情報は一般的な目安です。自治体・要介護度・工事内容によって異なります。詳細はケアマネジャーまたは市区町村窓口にご確認ください。