見学前に準備すること
老人ホームの見学は、「とりあえず行ってみる」では何も判断できません。見学は施設側も受け入れ態勢を整えた営業の場でもあります。事前に「何を確認しに行くか」を決めてから行くことが大切です。
佐藤健一さん(仮名)・50代・製造業(長男)
母の施設を4か所見学した時のこと
最初の見学はまったく準備せずに行って、きれいな食堂と笑顔のスタッフに「ここでいいかな」って思ってしまいました。でも後から「あれ、夜間のスタッフ何人いるんだろう」「看取りはどうなってるんだろう」って不安になって。2か所目からはメモを持って行ったら、施設ごとの違いがはっきり見えてきました。準備するかしないかで全然違います。
見学前に整理しておくこと
- 本人の要介護度・認知症の有無・医療ニーズ(吸引・胃ろうなど)
- 予算の上限(月額・入居一時金)
- 希望エリア(自宅から面会しやすい距離か)
- 本人の希望(「個室がいい」「同世代と交流したい」など)
- 外せない条件(看取り対応・リハビリ充実など)
⚠️ 見学は平日の午前中(食事・入浴が重なる忙しい時間帯)に行くと、スタッフの対応の余裕や入居者の様子がよりリアルに見えます。
見学チェックリスト30項目
🏠 施設の環境・清潔感
共用スペース・廊下・トイレに不快なにおいがないか
床・手すり・車椅子などが清潔に保たれているか
居室に自然光が入り、換気されているか
バリアフリー(段差・手すり・広い廊下)が整っているか
庭や屋外スペースがあり、外気に触れられるか
👥 スタッフの様子・対応
入居者に声をかける時の言葉遣いが丁寧か(タメ口・子ども扱いがないか)
見学者(家族)に対して笑顔で対応しているか
入居者の名前を把握して個別に声をかけているか
スタッフ同士の連携が取れているか(ギスギスした空気がないか)
夜間の人員配置(夜勤スタッフ何人か)を確認できたか
🍽️ 食事・生活サービス
食事のメニューを見せてもらえるか(季節感・バリエーションがあるか)
刻み食・ミキサー食など食形態に対応しているか
食事を食堂で他の入居者と一緒に食べられるか
入浴頻度(週何回か)と方法(一般浴・機械浴)を確認したか
洗濯・居室清掃のサービス内容と頻度を確認したか
🏥 医療・介護体制
協力医療機関(往診してくれる医師)があるか
看護師が常駐しているか(24時間対応か)
認知症への対応実績・専門知識があるか
吸引・胃ろうなど医療的ケアへの対応可否を確認したか
看取り(施設での最期)に対応しているか
💰 費用・契約
月額費用の内訳(介護費・食費・居住費・加算)を書面で確認したか
入居一時金の返還ルール(短期解約時の返金)を確認したか
要介護度が上がった場合・退去になる条件を確認したか
退去を求められるケース(医療ニーズの増大など)を確認したか
体験入居(短期利用)が可能か
👨👩👧 家族との関わり
面会時間・頻度に制限があるか
家族向けの定期的な情報共有(通知・面談)があるか
入居者の状態変化を家族にすぐ連絡してもらえるか
外出・外泊に対応しているか
家族が施設内で食事を一緒に取れるか
NG施設の見分け方
良い施設を見極めることと同じくらい重要なのが、「避けるべき施設」を早期に判断することです。
⚠️ こんな施設は要注意
- 見学中に入居者に話しかけたら、スタッフが制止・横取りした
- 「空室があと1部屋だけ」と急かして契約を迫る
- 費用の内訳をきちんと書面で説明してくれない
- 退去条件・返金ルールについて「契約書を見てください」で終わらせる
- 入居者がほとんど自室に引きこもっていて、共用スペースに人がいない
- スタッフの表情が硬く、笑顔が見られない
- 「うちは問題ない」と質問を遮って答えない
必ず聞くべき質問リスト
見学時に自分から質問しないと教えてもらえない情報があります。以下を必ず確認しましょう。
- 「夜間は何名のスタッフが対応していますか?」
- 「看取りには対応していますか?これまでの実績はどのくらいですか?」
- 「入居者の要介護度が上がった場合、退去を求めることはありますか?」
- 「直近1年で退去になったケースはありましたか?その理由は?」
- 「スタッフの平均勤続年数はどのくらいですか?」
- 「体験入居はできますか?」
複数施設を比較するコツ
見学後に施設を比較する際、記憶だけでは曖昧になります。見学直後に以下を記録しておきましょう。
- 第一印象(におい・清潔感・スタッフの笑顔)を数値化する(5段階など)
- 入居者の表情が明るかったかどうか
- 「ここに自分の親を任せられるか」という直感も大事な判断材料
- 気になった点・確認できなかった点をメモして、後で電話確認する
見学は最低3か所。決める前にもう一度訪問を
- 1か所目:比較基準がないため判断しにくい
- 2〜3か所:違いが見えてきて判断できるようになる
- 入居を決める前に、別の曜日・時間帯に再訪問すると本来の姿が見えやすい
まとめ
- 見学前に「要介護度・予算・希望条件」を整理してから行く
- におい・スタッフの言葉遣い・入居者の表情が最重要チェックポイント
- 夜間スタッフ数・看取り対応・退去条件は必ず口頭で確認する
- 急かす・費用を不透明にする・質問を遮る施設は要注意
- 最低3か所見学し、入居前にもう一度訪問して最終確認する
📌 参考・出典
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム(施設検索)」→ https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」→ https://www.mhlw.go.jp/
※ 施設の状況は時期・運営体制によって変わります。見学時の確認を必ずご自身で行ってください。