要介護5とはどんな状態か

要介護5は介護保険認定における最も重い区分です。日常生活のほぼすべての場面で全介助が必要な状態を指します。

項目 要介護5の状態の目安
食事口から食べることが難しい・経管栄養が必要なことも
排泄尿意・便意の訴えができない・オムツが常時必要
入浴全身浴は全介助・訪問入浴が必要
移動寝たきり、または車いす全介助
コミュニケーション言語でのやり取りが困難なことが多い
認知機能重度の認知症または意識障害を伴うことが多い
医療処置吸引・胃ろう・気管切開など医療的ケアが必要なことも

在宅介護は可能か

要介護5でも在宅介護は可能ですが、介護サービスを最大限に活用し、家族の体制が整っていることが前提となります。実際に要介護5の方の一部は在宅で生活しており、「本人が家にいたい」「家族が看取りたい」という強い意志と適切なサービスの組み合わせで実現しているケースがあります。

一人での在宅介護は非常に困難:要介護5の介護は、一人の介護者が担うには心身ともに過酷です。介護保険サービスに加えて、家族の交代・ヘルパーの複数回訪問・訪問看護などを組み合わせなければ、介護者が先に倒れてしまいます。
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山田絹代さん(仮名)・57歳・パート勤務(娘) 父(83歳・要介護5・脳梗塞寝たきり)の在宅介護

父が要介護5になった当初は「家で看る」と決意していました。訪問介護が1日3回、週2回の訪問看護、月に1〜2回の訪問入浴……でも夜中の吸引と体位変換は私がやるしかなくて、2年間ほとんど眠れない日が続きました。「限界のサイン」を自分では気づけなかったんです。娘に「お母さん最近死にたいって言ってる」と言われて、初めて限界だと気づきました。施設に移してもらってから、父との面会の時間が穏やかになりました。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

要介護5で使えるサービス

要介護5の支給限度額は月36,217単位(1割負担で約36,217円)と最も高く設定されています。

褥瘡(床ずれ)対策が最重要:要介護5で寝たきりになると、体圧分散マットレスの選択が生死に関わります。エアマット(自動体位変換機能付き)や低反発マットレスのレンタルは、ケアマネジャーに相談すれば介護保険で対応できます。
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在宅介護の限界サイン

以下のサインが出てきたら、施設移行を本格的に検討する時期かもしれません。

介護者が「もう無理」と感じることは、怠けでも弱さでもありません。これは「限界のサイン」です。施設移行は「見捨てること」ではなく、本人により専門的なケアを受けさせ、介護者が長く支え続けるための賢明な判断です。
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上田佳子さん(仮名)・52歳・会社員(妻) 夫(58歳・要介護5・ALS)の在宅介護

夫のALSが進行して要介護5になりました。人工呼吸器が必要になって、24時間誰かがそばにいなければならない状態。訪問看護・訪問介護を入れても夜間は私一人で対応していました。ある夜、吸引をしながら「このまま一緒に死んでしまいたい」と思った瞬間、これは限界だと気づきました。介護医療院に相談して受け入れてもらえることになって……夫に「悪かった」と謝ったら、夫は涙を流しながら「ありがとう」と言ってくれました。あの言葉は一生忘れません。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

施設移行を検討するタイミング

施設移行は「逃げ」ではありません
  • 施設に入ることで、本人がより専門的なケアを受けられる可能性がある
  • 「家族が面会に来る時間」が本人との質の高い時間になる
  • 介護者の心身が回復することで、長期的に本人を支えられる
  • 「施設に入れたら見捨てた」という罪悪感を多くの家族が感じるが、それは正しくない
施設入居の申し込みは早めに:特養の待機期間は地域によっては数年に及ぶことがあります。「まだいいや」と思ってから申し込むのでは間に合わないケースも。要介護4〜5になったら、ケアマネジャーと相談して複数施設への申し込みを始めることをお勧めします。
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川口雅人さん(仮名)・62歳・自営業(息子) 母(89歳・要介護5・末期がん)の在宅看取り

母が「家で死にたい」と言っていたので、最後まで在宅で看取ることにしました。訪問診療の先生・訪問看護師さん・ケアマネさんと「看取り計画書」を作って、何かあっても救急車を呼ばないと全員で確認しました。最期の2週間は私がほぼつきっきりでしたが、看護師さんが毎日来てくれて支えてもらいました。母は自分の部屋で、私の手を握りながら逝きました。在宅看取りは大変でしたが、後悔はありません。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

よくある質問

Q要介護5で在宅介護を続けるには何が必要ですか?
A訪問介護(1日複数回)・訪問看護・訪問入浴・訪問診療・ショートステイを組み合わせ、介護保険の支給限度額をフル活用することが基本です。医療的ケアが必要な場合は訪問看護との連携が必須。一人で担うのは過酷なため、家族複数名の協力体制が不可欠です。
Q要介護5で特別養護老人ホームに入れますか?
Aはい、要介護5は特養の入居要件(原則要介護3以上)を満たします。ただし待機期間が長い地域では数年かかることもあるため、早めに複数施設に申し込むことをお勧めします。要介護4・5の方は優先入居の対象になる場合があります。
Q要介護5の在宅介護の費用はいくらかかりますか?
A介護保険の支給限度額は月約36,000円(1割負担)が上限。これに消耗品・医療費・自費サービスが加わります。特養の費用は月8〜15万円程度(食費・居住費込み)で、補足給付制度を使えば施設のほうが在宅より総費用が安くなるケースも多いです。
Q要介護5でも在宅看取りはできますか?
A可能です。訪問診療医・訪問看護・ケアマネジャーと事前に在宅看取りの意思を共有し「看取り計画書」を作成することで、自宅で最期を迎えることができます。ただし24時間の見守り体制と医師の往診が取れる体制が必要です。希望する場合は早い段階でケアマネジャーに伝えましょう。

まとめ

重度介護(要介護5)の在宅継続のポイント

  1. 要介護5でも在宅介護は可能だが、介護保険サービスの最大活用と複数の家族体制が前提
  2. 訪問介護・訪問看護・訪問入浴・訪問診療・ショートステイを組み合わせて体制を作る
  3. 褥瘡対策(体圧分散マットレス・エアマット)が最重要——早めにケアマネに相談する
  4. 介護者の「限界のサイン」(慢性疲労・うつ・「死にたい」という言葉)を見逃さない
  5. 施設移行の申し込みは早めに——特養は待機期間が長い地域では数年かかることも
  6. 在宅看取りを希望する場合は、訪問診療医・ケアマネと早期に計画を立てる

要介護5の介護は、介護者の心身がギリギリになりやすい状況です。「限界になる前に相談する」ことが、本人にとっても介護者にとっても最善の結果につながります。ケアマネジャーに「正直に今の状態」を話すことが第一歩です。

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参考・出典
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。要介護5の在宅介護・施設移行の判断は、ケアマネジャー・主治医にご相談ください。