ケアプランとは——介護サービスの設計図

ケアプランとは、正式には「介護サービス計画書」といい、介護保険のサービスを「何のために・どれを・どのくらい・いつ使うか」を具体的にまとめた計画書です。家を建てるときの設計図のようなもので、これがないと介護保険のサービスは原則として使えません。

ケアプランには、単に「デイサービスを週2回」と書いてあるだけではありません。「一人で歩けるようになって、また庭いじりがしたい」といった本人の目標(ニーズ)があり、それを実現するためにサービスを組み合わせる、という考え方でできています。つまりケアプランの主役は"サービス"ではなく"本人がどう暮らしたいか"です。

ケアプランが決めること
  • 本人と家族が何に困っていて、どうなりたいか(生活の目標)
  • その目標のためにどのサービスを使うか(デイ・訪問・ショートステイなど)
  • いつ・どのくらいの頻度で使うか(週間スケジュール)
  • 毎月の利用料・限度額との関係

要介護(要支援)認定を受けたら、サービスを使う前にまずこのケアプランを作ります。認定の受け方は要介護認定の申請手順で解説しています。

誰が作る?費用は?

ケアプランは、要介護度によって作る人・場所が変わります。ただしどちらも作成費用の自己負担はゼロです(全額が介護保険から給付されます)。

区分作る人・場所
要介護1〜5 居宅介護支援事業所のケアマネジャー(介護支援専門員)が作成
要支援1・2 地域包括支援センター(または委託されたケアマネ)が作成(介護予防ケアプラン)
施設に入所 施設のケアマネジャーが施設サービス計画を作成

「無料なら、質の悪いプランを作られても文句を言えないのでは」と心配する必要はありません。費用がかからないのは制度の設計であって、遠慮する理由にはなりません。ケアマネとの上手な付き合い方はケアマネジャーとの上手な付き合い方も参考にしてください。

ケアプランの見方(第1表〜第3表)

居宅サービスのケアプランは、主に3つの表でできています。ここを読めるようになると、「なぜこのサービスなのか」が分かり、話し合いに参加しやすくなります。

何が書いてある?家族が見るポイント
第1表
居宅サービス計画書(1)
本人・家族の意向、総合的な援助の方針、生活の全体目標 本人の「こう暮らしたい」が正しく書かれているか。ここがプラン全体の土台
第2表
居宅サービス計画書(2)
生活の課題(ニーズ)ごとに、長期・短期目標と、使うサービスを整理 目標とサービスがかみ合っているか。「何のためのサービスか」が納得できるか
第3表
週間サービス計画表
月曜〜日曜の1週間の時間割(いつ何のサービスが入るか) 本人・家族の生活リズムに無理がないか。家族が休める時間はあるか
💡 プランを受け取ったらここを確認
  • 第1表の「意向」に、本人・家族が実際に言ったことが反映されているか
  • それぞれのサービスに「何のために使うのか」という目的があるか
  • 週間表を見て、家族の負担が特定の曜日に偏っていないか
  • 毎月の利用料が限度額の範囲に収まっているか(超えると10割負担。限度額の記事参照)

作成から利用開始までの流れ

ケアプランは、ケアマネが勝手に作るのではなく、本人・家族との話し合いを重ねて作ります。おおまかな流れは次のとおりです。

大事なのは、③の担当者会議と④の同意です。ここは本人・家族が希望を伝える大切な場面。「言われるまま署名」ではなく、疑問はその場で質問してよいのです。プランは一度作って終わりではなく、状態の変化に合わせていつでも見直せます

納得できないときの伝え方

「提案されたプランが、家族の実感と合わない」——そう感じることもあります。そのときは我慢せず、角を立てずに希望を伝えるのがコツです。

こう伝えるとスムーズ
  • 否定ではなく「こういうことで困っている」と事実で伝える(例:「金曜の夜が特に大変で…」)
  • 「どうなりたいか」の希望を具体的に(例:「週1回でいいので家族が休める日がほしい」)
  • サービスの目的や根拠を質問する(例:「このデイは何を目標にしていますか?」)
  • それでも合わなければ、ケアマネの変更も可能(事業所や地域包括支援センターに相談)

ケアマネは、家族にとって長い付き合いになるパートナーです。合わないまま我慢するより、正直に希望を伝えたほうが、結果的に良いプランになります。どうしても相性が合わないときは、担当変更のコツも知っておくと安心です。

自分で作る「自己作成(セルフケアプラン)」

実は、ケアプランは家族(本人)が自分で作ることもできます。これを「自己作成」「セルフケアプラン」といいます。あまり知られていませんが、制度上認められた正式な方法です。

メリットデメリット
自己作成 本人・家族の希望を最も反映できる/制度やサービスに詳しくなる/使いたいサービスを自分で選べる 市区町村への書類提出・給付管理を自分で行う必要がある/手間と知識が要る/事業所との調整も自分で
自己作成の進め方(おおまか)
  • 市区町村の介護保険窓口に「自己作成したい」と申し出る(届出が必要)
  • 窓口で様式(第1表〜週間表など)や記入方法の説明を受ける
  • 毎月、サービス利用の実績を市区町村に提出(給付管理)する
⚠️ 自己作成は「ケアマネに不満があるから」という理由だけで安易に選ぶと、毎月の手続きの負担が大きく、かえって大変になることがあります。まずはケアマネと希望をよく話し合うのが基本で、自己作成は「制度に詳しく、自分で管理したい人」に向いた選択肢と考えてください。迷ったら市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談を。

多くの家庭では、信頼できるケアマネと一緒に作るのが現実的です。ただ「自分でも作れる」と知っておくだけで、ケアプランを"お任せ"ではなく"一緒に作るもの"として向き合えます。それが、本人らしい暮らしを守る第一歩になります。なお、在宅での介護が限界に近づいてきた場合は、ケアプランの見直しとあわせて在宅か施設かの判断も検討時期かもしれません。

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在宅での介護が難しくなってきたら、ケアプランの見直しとあわせて施設という選択肢も。
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まとめ:ケアプランと上手に向き合う5つのポイント

  1. ケアプランは介護サービスの設計図。主役は"サービス"でなく"本人がどう暮らしたいか"
  2. ケアマネ(要支援は地域包括)が作成し、費用の自己負担はゼロ。遠慮は不要
  3. 第1表=意向と方針、第2表=目標とサービス、第3表=週間スケジュール
  4. 担当者会議と同意は希望を伝える場。疑問はその場で質問してよい
  5. 納得できなければ相談・ケアマネ変更も可。自分で作る自己作成という道もある

よくある質問

ケアプランの作成にお金はかかりますか?
自己負担はかかりません。ケアプランの作成費用は全額が介護保険から給付されるため、利用者の負担はゼロです。費用がかからないからといって遠慮する必要はなく、希望はしっかり伝えて大丈夫です。
ケアプランは誰が作りますか?
要介護1〜5の在宅の方は居宅介護支援事業所のケアマネジャー、要支援1・2の方は地域包括支援センター(または委託されたケアマネ)、施設入所の方は施設のケアマネジャーが作成します。いずれも本人・家族との話し合いをもとに作ります。
提案されたケアプランに納得できないときはどうすればいいですか?
我慢せず、事実と希望を具体的に伝えてください(例:『金曜の夜が特に大変』『週1回でいいので休める日がほしい』)。各サービスの目的を質問するのも有効です。それでも合わなければ、事業所や地域包括支援センターに相談してケアマネを変更することもできます。
ケアプランは途中で変更できますか?
できます。ケアプランは一度作って終わりではなく、状態の変化や希望に応じていつでも見直せます。ケアマネは月1回以上訪問して状況を確認(モニタリング)するので、その際に変更を相談できます。
ケアプランを自分で作ることはできますか?
できます。「自己作成(セルフケアプラン)」といい、制度上認められた正式な方法です。本人・家族の希望を最も反映できる一方、市区町村への届出や毎月の給付管理を自分で行う必要があり、手間と知識が要ります。まずは市区町村の介護保険窓口に相談してください。
ケアプランがないとサービスは使えませんか?
原則として使えません。介護保険のサービスは、ケアプランにもとづいて利用するのが基本です。認定を受けたら、サービス利用の前にまずケアプランを作成します。急いでいる場合は、暫定的なケアプランで利用を始めることもあります。
※本記事は公的制度をもとにした一般的な解説であり、個別のケアプラン作成について助言するものではありません。制度・様式・手続きは2026年7月時点の情報で、市区町村や制度改定により異なる場合があります。実際の作成・見直しはケアマネジャー・地域包括支援センター・市区町村の窓口にご相談ください。本ページには広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。
出典・参考
  • 厚生労働省「介護保険制度」関連ページ(居宅介護支援・ケアプラン)
  • 厚生労働省「介護サービス計画書(ケアプラン)の様式」(第1表〜第3表等)
  • 厚生労働省「居宅介護支援」(自己作成=利用者によるケアプラン作成と給付管理)
  • ※様式・手続きは2026年7月時点の情報です。自己作成の手続きは市区町村により運用が異なります。