介護離職のリスクを知る
「仕事を辞めて介護に専念しよう」と考える方は多いですが、介護離職には大きなリスクがあります。まずそれを知ることが、判断の出発点になります。
- 収入が途絶え、介護費用・生活費を賄えなくなる
- 再就職が難しくなる(特に50代以上)
- 社会的なつながりが薄れ、孤立しやすくなる
- 介護者自身が精神的・体力的に追い詰められやすくなる
- 要介護者が亡くなった後、再スタートが困難になる
「仕事を辞めれば介護に集中できる」と思いがちですが、介護は体力・精神力ともに消耗します。収入がなくなると選択肢(外部サービス・施設)が狭まり、かえって追い詰められるケースが多いです。
上司に「最近ミスが増えている」と言われて、もう辞めるしかないと思って退職届を書いたこともあります。でも夫に「辞めてどうするの、お金は?」って言われて。介護費用って毎月かかるのに、収入ゼロになったら施設も選べなくなるって気づいて。踏みとどまれたのは、会社に介護休暇制度があるって人事部に聞いたから。知らなかっただけで、使える制度があったんです。
介護休業・介護休暇制度
育児・介護休業法により、介護が必要になったとき会社に申請できる制度があります。知らないまま辞めてしまう前に、必ず確認しましょう。
介護休業(最大93日)
要介護状態にある家族1人につき、通算93日まで休業できる制度です。3回まで分割して取得可能です。
- 対象:配偶者・父母・子・祖父母・兄弟姉妹・孫など
- 給付:雇用保険から介護休業給付金(賃金の67%)が支給される
- 会社への申請は原則2週間前までに書面で行う
介護休暇(年5日まで)
1日または半日単位で取得できる休暇です(対象家族が2人以上の場合は年10日)。通院の付き添いや手続きなど、短期の対応に使いやすいです。
- 介護休業は「介護の体制を整える期間」として活用する
- 93日で介護を完結させる必要はない。ケアマネ探し・施設申し込みなどの準備期間として使う
- 給付金の手続きはハローワークで行う
時短・フレックスの活用
介護休業以外にも、働き方を柔軟にする制度があります。
所定労働時間の短縮(時短勤務)
介護が必要な家族がいる場合、1日の所定労働時間を短縮できます。会社によって制度の内容が異なるため、就業規則や人事に確認しましょう。
フレックスタイム制・始業終業時刻の変更
通院の付き添いや急な対応に備えて、フレックス勤務やシフト変更が使える場合があります。上司や人事と話し合い、柔軟な働き方を提案してみましょう。
テレワーク・在宅勤務
在宅勤務ができる職場では、介護との両立がしやすくなります。ただし、介護しながら仕事をするのは集中が難しいため、外部の介護サービスと組み合わせることが前提です。
職場への伝え方
「介護のことを会社に言いにくい」と感じる方は多いですが、言わないまま無理を続ける方が離職リスクが高まります。
伝えるタイミングと相手
まず直属の上司に、介護が始まった事実と、どのくらいの影響が出そうかを伝えましょう。その後、必要に応じて人事部門に相談します。
伝え方のポイント
- 「辞めたい」ではなく「続けたいので相談したい」というスタンスで話す
- 何の支障が出るか(急な欠勤の可能性など)を具体的に伝える
- どんな配慮が必要か(シフト変更・テレワークなど)を提案する
- 介護サービスで対応できる部分はすでに手配している、と伝えると安心感を持ってもらえる
介護サービスを使って時間を確保する
仕事を続けるためには、介護を一人で抱え込まず、外部サービスに任せることが不可欠です。
デイサービス(通所介護)
平日の日中に施設に通ってもらうことで、仕事中の時間を確保できます。入浴・食事・レクリエーションがあり、親の生活リズムも整います。
ショートステイ
数日〜数週間、施設に泊まってもらえます。長期出張・繁忙期など、まとまった仕事の時間が必要なときに活用できます。
訪問介護
朝の着替え・食事の準備など、特定の時間帯だけヘルパーに対応してもらうことで、出勤前後の負担を減らせます。
まとめ
- 介護離職は収入・再就職・精神面で大きなリスクがある。最後の手段と考える
- 介護休業(最大93日)・介護休暇(年5日)を活用して体制を整える
- 時短・フレックス・テレワークなど柔軟な働き方を職場に相談する
- 「続けたい」という意思を職場に伝え、必要な配慮を具体的に提案する
- デイサービス・ショートステイ・訪問介護を組み合わせて時間を作る
- 厚生労働省「仕事と介護の両立(介護離職防止対策)」→ https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省「育児・介護休業法について」→ https://www.mhlw.go.jp/