親が倒れた直後にやること

親が脳梗塞・心筋梗塞・転倒などで突然倒れると、家族は強い動揺の中で次々と判断を迫られます。まずは落ち着いて、命を守ることを最優先にしてください。

倒れた直後(当日〜数日)
  • 救急要請(119番):意識・呼吸の異常、麻痺、ろれつが回らない等はためらわず救急車を
  • キーパーソンを決める:病院との窓口になる家族を1人決める(情報の混乱を防ぐ)
  • 必要書類を持参:健康保険証、お薬手帳、ある場合は介護保険証・診察券
  • きょうだい・親族へ連絡:状況を共有し、今後の役割を相談する

この段階では「介護のこと」より、まず治療です。介護の手続きは入院が落ち着いてから順番に進めれば間に合います。

入院中にやる手続き

入院が決まったら、医療費の負担を軽くする手続きを早めに行いましょう。

手続き内容窓口
限度額適用認定証窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えられる加入する健康保険(協会けんぽ・健保組合・国保等)
高額療養費1か月の医療費が上限を超えた分が後から払い戻される同上
入院手続き・保証人入院誓約書・連帯保証人の記入病院の窓口
病状の確認主治医から今後の見通し・後遺症の説明を受ける主治医

限度額適用認定証を先に用意しておくと、退院時にまとまった医療費を立て替えずに済みます。入院が決まったらすぐ申請しましょう。

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退院前にやること(ここが分かれ道)

多くの家族がつまずくのが、退院後の生活の準備です。後遺症が残る場合、退院=元の生活に戻れるとは限りません。退院前に動き出すことが、その後の負担を大きく左右します。

退院が見えてきたら
  • MSW(医療ソーシャルワーカー)に相談:病院の相談室にいる専門職。退院先・制度・在宅サービスを一緒に考えてくれる(無料)
  • 要介護認定を申請:市区町村の窓口へ。退院後の介護サービスに必須。入院中から申請できる
  • 退院前カンファレンスに参加:医師・看護師・MSW・ケアマネと退院後の体制を確認
  • 住まいの準備:手すり・段差解消などの住宅改修、ベッド等の福祉用具の検討

介護保険の申請の流れ

介護サービスを使うには「要介護認定」が必要です。申請から利用開始までの流れは次のとおりです。

ステップ内容
① 申請市区町村の窓口で要介護認定を申請(本人・家族・地域包括支援センターが代行可)
② 認定調査調査員が本人の心身の状態を聞き取り。主治医意見書も作成される
③ 判定要支援1〜2・要介護1〜5などに認定(申請から原則30日が目安)
④ ケアプラン作成ケアマネジャーがサービス計画を作成(要支援は地域包括支援センター)
⑤ 利用開始デイサービス・訪問介護・福祉用具などの利用がスタート

認定には時間がかかるため、退院後すぐにサービスを使いたい場合は入院中に申請しておくのが理想です。認定前でも「暫定ケアプラン」でサービスを始められる場合があります。

お金の手続き

介護する家族の仕事

付き添いや手続きで仕事を休む場面が増えます。会社員なら介護休暇(年5日)介護休業(通算93日)が使えます。いきなり離職せず、まず制度を使って体制を整えてください。

親が倒れたら ―― やることチェックリスト

【当日〜数日】救急対応/キーパーソン決定/親族へ連絡
【入院中】限度額適用認定証/高額療養費/病状の確認/要介護認定の申請
【退院前】MSWに相談/退院前カンファ/住宅改修・福祉用具/ケアプラン
【退院後】介護サービス開始/お金の制度(障害年金等)/仕事の制度/きょうだいで分担

体験談

👩
近藤里美さん(仮名)・51歳・会社員 父・78歳が脳梗塞で倒れた経験

父が脳梗塞で倒れたと連絡が来たときは、頭が真っ白でした。何から手をつければいいかわからず、病院のソーシャルワーカーさんに相談したら『まず限度額認定証を、入院中に介護認定の申請を』と順番を教えてもらえて。あの人がいなかったら回らなかったです。退院前カンファで在宅の体制を組めて、今は週3回のデイサービスで何とかやれています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

まとめ

  1. 倒れた直後はまず命を守る。救急対応とキーパーソン決めが最優先
  2. 入院中に「限度額適用認定証」を申請し、医療費の立て替えを防ぐ
  3. 退院前にMSWへ相談し、入院中から要介護認定を申請しておく
  4. 介護保険は申請→認定→ケアプランの流れ。認定まで原則30日が目安
  5. お金(高額療養費・障害年金等)と仕事(介護休業)の制度も忘れずに

よくある質問

Q. 親が倒れたら最初に何をすればいいですか?
まず命を守ることが最優先です。意識や呼吸の異常、麻痺、ろれつが回らない等があれば119番で救急要請を。落ち着いたら病院との窓口になるキーパーソンを家族で1人決め、健康保険証やお薬手帳を持参してください。介護の手続きは入院が落ち着いてからで間に合います。
Q. 介護保険の申請はいつすればいいですか?
退院後すぐにサービスを使いたい場合は、入院中に市区町村の窓口で要介護認定を申請しておくのが理想です。認定には申請から原則30日ほどかかるため、早めに動くとスムーズです。地域包括支援センターが申請を代行してくれます。
Q. 入院費が高額になりそうです。どうすればいいですか?
加入している健康保険に「限度額適用認定証」を申請すると、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えられます。間に合わなかった分は「高額療養費」として後から払い戻されます。入院が決まったら早めに申請してください。
Q. MSW(医療ソーシャルワーカー)とは何ですか?
病院の相談室などにいる、医療と生活の橋渡しをする専門職です。退院後の生活先、使える制度、在宅サービスや施設のことを無料で一緒に考えてくれます。退院に不安があれば早めに相談しましょう。
Q. 退院を急かされています。在宅は無理そうなときは?
在宅が難しい場合は、老健(リハビリ中心の中間施設)やショートステイ、介護付き有料老人ホームなどの選択肢があります。MSWやケアマネジャーに相談すると、状態に合った退院先を一緒に探してくれます。施設入居も家族と本人を守る大切な選択肢です。