介護うつとは何か

「介護うつ」とは、介護による慢性的な疲労・ストレス・孤立によって引き起こされるうつ病や抑うつ状態のことです。日本では介護者の30〜40%が何らかの抑うつ状態にあるとも言われており、決して珍しいことではありません。

介護うつは「弱いから」なるのではありません。それだけ真剣に、長期間、介護に向き合い続けた結果として起きる心の疲弊です。「こんなことで病院に行っていいのか」と思わずに、症状が続くならためらわずに専門家に相談してください。

「消えてしまいたい」という気持ちが繰り返し出てきたら:介護うつが重症化すると悲しい事件につながることがあります。このような気持ちが繰り返し出てきたら、すぐによりそいホットライン(0120-279-338・24時間・無料)に電話してください。介護から逃げることは命を守ることです。
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鈴木真弓さん(仮名)・49歳・パート勤務 義母(84歳・認知症・要介護3)の介護5年目で抑うつ状態に

毎日同じことを何十回も聞かれ、夜中も起こされ続けた5年目。ある朝、起き上がれなくなりました。泣いているのに涙も出なくて。「自分がどこかに消えてしまいたい」という気持ちが止まらなくて、初めてケアマネさんに「もう無理です」と電話しました。すぐにショートステイを入れてもらって、心療内科に紹介してもらえました。もっと早く言えばよかった。言わなかったのが一番よくなかったです。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

セルフチェック10項目

以下の項目のうち、2週間以上続いているものをチェックしてください。

3〜4個以上当てはまる場合は要注意。5個以上が2週間以上続いている場合は、精神科・心療内科への受診をお勧めします。「これくらいで病院に行っていいのか?」と思わずにためらわずに受診してください。介護うつは適切な治療で改善できます。

なぜ介護者は追い詰められるのか

介護うつには構造的な原因があります。「自分の心が弱い」のではなく、誰でも追い詰められる環境がそこにあります。

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長谷川浩之さん(仮名)・55歳・会社員 父(82歳・認知症・要介護4)の在宅介護2年目

介護を始めて1年半が過ぎた頃、父に叩かれながら「お前なんか知らない」と言われて。感情のコントロールがきかなくなり、思わず手を上げそうになりました。その瞬間に「自分もおかしくなっている」と気づいた。すぐに会社を早退して精神科に行き、睡眠薬と抗うつ薬を処方してもらいました。あのまま続けていたら、もっと大変なことになっていたと思います。男だからって我慢するのは違うと学びました。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

介護うつを予防する7つの実践

介護うつ予防の7つの実践
  • 「介護者が元気でいること」が本人のためだと理解する:あなたが倒れたら誰が介護するのか。自分を守ることは義務
  • ショートステイ・デイサービスで「介護から離れる時間」を定期的に作る:月に数日の「一人の時間」があるかどうかで精神状態が大きく変わる
  • ケアマネジャーに「つらい」と正直に話す:介護者の精神状態が悪化しているという情報は、ケアプランを組み直す正当な理由になる
  • 「しなくていいこと」を決める:毎日の入浴・手作り料理・完璧な介護にこだわらない
  • 体を動かす習慣を作る:30分の散歩・軽い体操でセロトニンが増え、うつ予防になる
  • 介護者の会・家族の会に参加する:同じ立場の人と話すだけで「自分だけじゃない」と楽になる
  • 怒りや悲しみをそのまま感じることを許す:「こんなことを思ってはいけない」と感情を押し込まない
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なってしまったときの対処法

すぐにとるべき3つのステップ

無料で相談できる窓口

介護者向け相談先一覧
  • よりそいホットライン:0120-279-338(24時間・無料・匿名OK)
  • こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556(平日・各都道府県)
  • 認知症の人と家族の会 電話相談:0120-294-456(月〜土・無料)
  • 地域包括支援センター:介護者支援として相談を受けてくれる。市区町村窓口で案内してもらえる
  • 介護者サロン・家族の会:同じ立場の人が集まる場。地域包括支援センターから情報が得られる
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岡本由美さん(仮名)・64歳・主婦 夫(68歳・脳梗塞後遺症・要介護4)の在宅介護3年目

地域包括支援センターの方から「介護者サロン」を紹介してもらって、最初は「こんな集まり行っても意味ないだろう」と思っていました。でも行ってみたら、同じような状況の方が何人もいて。「誰かに怒鳴りたくなることある?」と聞いたら全員が「ある!」と言って笑いあえました。その瞬間に「私だけじゃないんだ」って肩の力が抜けました。月1回のサロンが、今は私の一番の楽しみです。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

よくある質問(FAQ)

介護うつはどんな症状ですか?
主な症状は、①気分の落ち込みが2週間以上続く、②以前好きだったことが楽しめない、③不眠または過眠、④食欲不振または過食、⑤疲れやすく何もやる気がしない、⑥集中力の低下、⑦「消えてしまいたい」という気持ちが繰り返し出てくる、などです。3〜4個以上が2週間以上続く場合は、精神科・心療内科への受診を検討してください。
介護うつを予防するために最も効果的な方法は何ですか?
最も効果的な予防策は「介護を一人で抱え込まないこと」です。ショートステイ・デイサービスを活用して「介護から離れる時間」を意識的に作る、ケアマネジャーや地域包括支援センターに「つらい」と正直に話す、家族の会・介護者サロンで同じ立場の人と交流するの3つが特に効果的です。「もっと頑張らなければ」という思いが介護うつを悪化させます。
介護うつになってしまいました。どこに相談すればよいですか?
まずかかりつけ医か精神科・心療内科に受診してください。「介護中で心身が限界」と伝えれば診察・処方をしてもらえます。同時にケアマネジャーに「今は限界の状態」と話してサービスを見直す、よりそいホットライン(0120-279-338・24時間無料)を活用するなどの対処を行いましょう。介護うつは適切な治療と休養で回復できます。
施設に入れることへの罪悪感を和らげるにはどうすればいいですか?
施設入所は「見捨てること」ではありません。介護者が追い詰められて共倒れになる前に、プロが24時間体制で安全に守ってくれる環境を選ぶことは本人のためでもあります。入所後も頻繁に面会・電話するという関わり方を続けることで、親子の関係性は十分に維持できます。
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参考・相談窓口
  • よりそいホットライン:0120-279-338(24時間・無料)
  • こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
  • 公益社団法人 認知症の人と家族の会 電話相談:0120-294-456
  • 厚生労働省「地域における介護者支援について」→ https://www.mhlw.go.jp/
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。介護うつの診断・治療は医療機関にご相談ください。緊急の場合はよりそいホットライン(0120-279-338)にご連絡ください。