訪問介護(ホームヘルパー)とは
訪問介護とは、介護福祉士や訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、生活援助や身体介護を行うサービスです。介護保険サービスの中で最も利用者数が多く、在宅介護の中心的な役割を担っています。
・対象者:要介護1〜5(要支援の方は「介護予防訪問介護」→地域支援事業へ移行)
・提供者:訪問介護員(介護福祉士・ホームヘルパー2級以上)
・利用形態:ケアプランに基づき、週複数回〜1日複数回まで柔軟に設定可能
・24時間対応:深夜帯の訪問や緊急対応が可能な事業所もある
身体介護と生活援助の違い
訪問介護のサービスは大きく「身体介護」と「生活援助」の2種類に分かれます。この区分によって費用(介護報酬単価)が異なります。
| 種類 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 身体介護 | 利用者の体に直接触れて行う介護 | 入浴介助・排泄介助・食事介助・体位変換・更衣介助・移動介助・服薬管理の補助・口腔ケア |
| 生活援助 | 利用者の日常生活を支えるための家事的な援助 | 掃除・洗濯・調理・買い物(代行)・ベッドメイク・薬の受け取り代行 |
| 通院等乗降介助 | 病院・施設への送迎に関する介助 | 乗降の介助(乗り降りの動作)。移送自体は介護タクシー等との組み合わせで対応 |
ヘルパーにできること・できないこと
✅ ヘルパーができること
- 入浴介助・清拭・シャワー介助
- トイレ・オムツの介助
- 食事の準備・食事介助
- 着替えの介助
- 居室内の掃除・整頓
- 洗濯・乾燥・たたむ
- 本人分の調理・配膳
- 買い物の代行(本人のもの)
- 通院介助(乗降時の介助)
- 服薬の声かけ・見守り
- 体位変換・移乗介助
❌ ヘルパーができないこと
- 庭の草むしり・窓拭き・大掃除
- 家族分の料理・洗濯
- ペットの世話
- 医療行為(点滴・注射等)
- インスリン注射の実施
- 口腔内の吸引(研修修了者は可)
- 金銭の管理・代理
- 外出中の移動介助(乗降以外)
- 家族の話し相手・相談
- 引越し作業・力仕事
- 医療行為が必要 → 訪問看護・訪問診療と組み合わせる
- 庭・窓拭き等 → 自費の家事代行サービスを利用する
- 家族全員の調理 → 訪問介護(本人分)+宅配弁当サービスを併用する
- 外出の付き添い → 通院介助加算のある訪問介護か介護タクシーを活用する
- 深夜の緊急対応 → 定期巡回・随時対応型訪問介護看護や介護保険外サービスを検討
費用の目安
介護保険サービスとして利用する場合、自己負担は収入によって1割〜3割です。以下は1割負担の場合の目安です(2024年度改定後)。
| サービス種類 | 時間 | 報酬単価 | 自己負担(1割) |
|---|---|---|---|
| 身体介護 | 20分未満 | 167単位 | 約167円 |
| 身体介護 | 20分以上30分未満 | 250単位 | 約250円 |
| 身体介護 | 30分以上1時間未満 | 396単位 | 約396円 |
| 身体介護 | 1時間以上1時間半未満 | 579単位 | 約579円 |
| 生活援助 | 20分以上45分未満 | 183単位 | 約183円 |
| 生活援助 | 45分以上 | 225単位 | 約225円 |
利用開始までの流れ
まだ認定を受けていない場合は、市区町村窓口または地域包括支援センターへ申請。申請から認定まで約1ヶ月かかるため、早めに動くことが重要です。
要介護1〜5の方は居宅介護支援事業所のケアマネジャーに依頼。ケアプランを無料で作成してもらえます。ケアマネ選びが在宅介護の成否を大きく左右します。
どんな支援が必要か、何曜日の何時に来てもらうかをケアマネジャーと相談。「身体介護」「生活援助」それぞれの回数・時間も具体的に伝えましょう。
ケアマネジャーから複数紹介してもらい、担当者の固定・緊急対応力・担当ヘルパーの質を確認してから選ぶのがベストです。
契約後、計画に従ってヘルパーが訪問を開始します。開始後は月1回以上、ケアマネジャーが自宅を訪問してサービスが合っているか確認(モニタリング)します。状況が変わったら随時見直せます。
夜間の排泄・体位変換など、1日複数回・深夜の対応が必要な方には「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」も選択肢です。短時間(15〜20分)の訪問を1日数回行う仕組みで、コールセンターへの連絡で随時対応もできます。通常の訪問介護より費用は月額制でやや高めですが、24時間安心を得られるのが特長。ケアマネジャーに相談して対応事業所を紹介してもらいましょう。
訪問介護事業所の選び方
- スタッフの質を確認する:介護福祉士の割合が高い事業所はサービスの質が安定しやすい
- 緊急時の対応体制:担当ヘルパーが休んだとき代替スタッフを出してくれるか、緊急連絡先があるか
- 担当ヘルパーの固定:毎回違うヘルパーではなく、できる限り担当者を固定してくれる事業所のほうが本人が安心できる
- サービス提供記録の共有:毎回の訪問内容を記録し、家族やケアマネジャーと共有してくれる体制があるか
- 通院介助への対応:病院への同行が必要な場合、対応可能な事業所かどうか事前に確認する
- 夜間・休日の対応:緊急時に連絡がつくか、深夜対応はあるかを確認しておくと安心
利用者家族の体験談
父と同居しているのに訪問介護を使っていいのか最初はわかりませんでした。ケアマネさんに「娘さんが仕事で昼間いないなら使えますよ」と言われて。週4日、昼の食事と服薬確認だけお願いしているんですが、私が仕事中の父の様子がわかるので本当に安心です。「家族がいるから使えない」ではないということを、もっと早く知りたかったです。
※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。
母が転倒して一時入院してから、一人暮らしが心配で。退院後にケアマネさんに相談してヘルパーを週3回お願いしました。掃除と買い物の代行だけなんですが、ヘルパーさんが来た日は母から電話がかかってきて「今日は〇〇さんが来てくれた」と生き生き話すんですよ。社会とのつながりにもなっているんだと実感しています。
※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。
最初は他人に家に入られるのが嫌でした。でも今お願いしているヘルパーさんは変に世話焼きじゃなくて、必要なことだけさっとやってくれる。入浴介助も最初は恥ずかしかったけど、今は一番危ない場面を見てもらえているので安心です。担当者が最初の方のままずっと変わっていないのが何より良かった。
※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。
よくある質問
まとめ
- 訪問介護は身体介護・生活援助・通院介助の3種類。できないこと(庭・家族分料理等)は自費サービスで補う
- 費用は1割負担で1回167〜579円程度。東京など地域加算で1単位が高くなる
- 同居家族がいても、日中不在など合理的理由があれば生活援助を利用できる
- 24時間対応が必要なら「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を検討する
- 申し込みはケアマネジャーを通じて行い、担当ヘルパーの固定・緊急対応力を事前確認
- ヘルパーと相性が合わない場合は遠慮せずケアマネジャーに相談。事業所変更も可能
- 厚生労働省「訪問介護に関する基準・通知」→ mhlw.go.jp
- 厚生労働省「介護報酬の算定構造」(2024年度改定版)→ mhlw.go.jp
- 公益財団法人 介護労働安定センター