介護予防・リハビリ

介護予防とリハビリの使い方完全ガイド|要支援・要介護状態別サービスと費用

この記事でわかること
廃用症候群の速さ
2週間
安静にするだけで筋力が
10〜15%低下する
介護保険1割負担の場合
月1,000〜
5,000円程度で
リハビリサービスが利用できる
要介護原因のうち
約40%
転倒・骨折・関節疾患・
廃用症候群——予防できる原因
目次
  1. 気づかないうちに進む「廃用症候群」の怖さ
  2. 介護予防とリハビリ、何が違う?
  3. 要支援・要介護レベル別——使えるサービス一覧
  4. リハビリにかかる費用と保険適用
  5. 訪問リハビリと通所リハビリ、どちらを選ぶか
  6. 自宅でできる介護予防体操5選
  7. 地域の介護予防サービスの使い方
  8. 体験談:リハビリで変わった3人のケース
  9. エリアからリハビリ・施設を探す
  10. よくある質問
  11. まとめ

気づかないうちに進む「廃用症候群」の怖さ

「入院前はまだ元気だったのに、退院したら急に弱ってしまった」——介護家族から最もよく聞く言葉のひとつです。この現象の多くは、廃用症候群(はいようしょうこうぐん)と呼ばれる状態が原因です。

廃用症候群とは、安静状態が長く続くことで身体機能が低下する状態のこと。筋肉は使わなければ2週間で10〜15%程度萎縮し、1ヵ月では20〜30%近く落ちることもあります。骨密度・心肺機能・認知機能にも影響が出ます。

高齢者の場合、入院で「ベッドの上で安静に」という状況が数週間続くだけで、退院後に歩行や日常動作が大幅に制限されるケースが少なくありません。

⚠️ 「しばらく休んでいれば回復する」は高齢者には通用しない
若い人であれば安静後も自然と戻りやすいですが、高齢者では安静そのものがさらなる機能低下を招きます。入院中・療養中こそ、早期のリハビリ介入が回復の速度を左右します。退院後に「もう少し落ち着いてから」と先送りにするほど、回復にかかる時間が長くなります。

だからこそ、「まだ元気なうち」に介護予防を始めることと、「機能が落ち始めたら」すぐにリハビリを使うことが、長く在宅で過ごすための最大の武器になります。

介護予防とリハビリ、何が違う?

「介護予防」と「リハビリ」は混同されやすい言葉ですが、目的と対象が異なります。

項目 介護予防 リハビリ(機能訓練)
目的 要介護状態になることを防ぐ・遅らせる 低下した機能を回復・維持する
主な対象 65歳以上の全高齢者、特に要支援・軽度の方 要支援〜要介護、または入院後・術後
担い手 市区町村、地域包括支援センター、通所施設 理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)
費用 無料〜低額(一般介護予防事業)
介護保険1割負担のサービスも
介護保険1割負担(月1,000〜5,000円程度)
具体的な内容 体操教室・栄養指導・口腔ケア・認知症予防プログラムなど 歩行訓練・関節可動域訓練・日常動作訓練・言語訓練など

介護予防は「元気なうちに行う予防活動」、リハビリは「低下した機能への専門的介入」と理解すると整理しやすいです。両者は排他的なものではなく、状態に応じて組み合わせて使うものです。

要支援・要介護レベル別——使えるサービス一覧

介護保険の認定段階によって、使えるサービスの名称と内容が変わります。まず全体像を把握しましょう。

65歳以上・元気
介護認定なし
● 一般介護予防事業
(市区町村運営・無料)

● 体操教室・認知症
予防プログラム

● 地域包括支援
センターへ相談
要支援1 / 2
介護予防サービス
● 介護予防通所
リハビリ(デイケア)

● 介護予防訪問
リハビリ

● 介護予防通所
介護(デイサービス)
要介護1 / 2
介護サービス(軽〜中度)
● 通所リハビリ
(デイケア)

● 訪問リハビリ

● 訪問介護・
デイサービス
要介護3〜5
介護サービス(中〜重度)
● 通所リハビリ
(維持期)

● 訪問リハビリ

● 老健でのリハビリ

● 特養・GH での
機能訓練
ℹ️ 「介護予防」という言葉がついているサービスは要支援専用
「介護予防通所リハビリ」は要支援1・2の方が対象。要介護1以上になると「(介護予防なし)通所リハビリ」を利用します。名称が変わるだけで施設や内容は同じことが多いです。担当のケアマネジャーまたは地域包括支援センターに確認しましょう。

リハビリを担う3職種の役割

リハビリは資格を持つ専門職が担当します。状態に合わせて組み合わせることもあります。

職種 主な役割 対応が多い症状
PT(理学療法士) 立つ・歩く・座るなど基本的な体の動きを回復・維持する 骨折後・脳卒中後遺症・転倒予防・筋力低下
OT(作業療法士) 食事・入浴・着替えなど日常生活動作の自立を支援する 脳卒中後の麻痺・認知症・精神疾患
ST(言語聴覚士) 話すこと・飲み込む機能(嚥下)の訓練と支援を行う 嚥下障害・失語症・構音障害

リハビリにかかる費用と保険適用

介護保険でリハビリサービスを利用する場合、原則として費用の1割(所得によっては2割または3割)を自己負担します。具体的な目安は以下のとおりです。

サービス種類 利用単位の目安 自己負担(1割)目安 備考
訪問リハビリ 1回20分×週3回まで 1回あたり約300〜400円 PT/OT/STが自宅に来る
通所リハビリ(デイケア)
2〜3時間
週2〜3回が多い 1回あたり約430〜570円 食費・送迎費は別途
通所リハビリ(デイケア)
6〜7時間
週2〜3回が多い 1回あたり約830〜1,000円 食費・送迎費は別途
老健(入所) 月単位 月8〜15万円(食費・居住費込み) 補足給付適用で軽減可

食費・送迎費・日常生活費は介護保険の対象外となることに注意が必要です。通所リハビリを週2〜3回利用する場合、食費・送迎費も含めると月1万〜3万円程度になることが多いです。

⚠️ 高額介護サービス費の申請を忘れずに
1ヵ月の介護保険自己負担額が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される「高額介護サービス費」制度があります。一般的な所得の方は月44,400円が上限。申請は市区町村の介護保険窓口で行います。リハビリに限らず複数のサービスを使っている場合はとくに確認を。
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訪問リハビリと通所リハビリ、どちらを選ぶか

在宅でリハビリを続けるとき、「自宅に来てもらう訪問」と「施設に通う通所」どちらが合うかは、本人の状態と生活スタイルによって変わります。

比較項目 訪問リハビリ 通所リハビリ(デイケア)
場所 自宅(生活の場で実施) リハビリ特化型施設・老健・病院
内容の特徴 実際の生活動作に即したリハビリが可能。自宅の段差・台所・浴室での訓練ができる 専用機器を使った本格的な訓練が可能。集団プログラムで社会性も維持できる
外出できない方 ◎ 向いている △ 移動が難しい場合は難しい
孤立・閉じこもり予防 △ 家に来てもらうだけなので交流は限定的 ◎ 他の利用者や職員との交流で気力が高まる
1回の時間 20〜40分(集中的) 2〜7時間(食事・入浴含む場合も)
家族の負担 在宅なので家族が立ち会いやすい 送迎があるため家族の時間が生まれる
状況別・どちらを選ぶかの目安
  • 外出が難しい・重度の障害がある方→ 訪問リハビリ
  • 脳卒中後・骨折後で本格的な機能回復を目指している方→ 通所リハビリ
  • 閉じこもりがちで気力が落ちている方→ 通所リハビリ(外出の習慣が重要)
  • 両方組み合わせたい方→ ケアマネジャーと相談して併用も可能
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自宅でできる介護予防体操5選

専門家によるリハビリと並行して、日常生活に取り入れられる体操も重要です。転倒予防・筋力維持・認知機能の維持に効果があるとされる体操を5つ紹介します。いずれも椅子に座ったままでも実施できます。

ℹ️ 体操は毎日少しずつが鉄則
週1回1時間より、毎日10分のほうが機能維持に有効です。テレビを見ながら・食事前などの「ながら体操」で習慣化しましょう。痛みがある場合は無理せず、かかりつけ医やリハビリ担当者に相談してください。

地域の介護予防サービスの使い方

介護認定を受けていない「元気な65歳以上」も利用できる介護予防サービスがあります。市区町村が運営する「一般介護予防事業」で、多くの場合無料または低額で参加できます。

申請・参加できる地域の介護予防サービス
① 介護予防教室・体操教室
市区町村や地域包括支援センターが定期開催。筋力・バランス・口腔ケアなどのプログラムが無料〜数百円で受けられる。
② 通いの場(ミニデイ・サロン)
地域の公民館・集会所などで開催される交流の場。孤立予防・認知症予防に有効。参加に介護認定は不要。
③ 介護予防・日常生活支援総合事業
要支援1・2または「基本チェックリスト」で該当した方が対象。訪問型・通所型のサービスを利用できる。
④ 地域包括支援センターへの相談(完全無料)
「どこに相談すればいいかわからない」状態でも大丈夫。本人・家族どちらの相談も受け付けており、サービス利用の窓口を案内してくれる。

地域包括支援センターは市区町村に必ず設置されており、電話一本で相談できます。介護認定を受けていなくても、「最近転びやすくなった」「物忘れが増えた」といった悩みを持って訪問するだけでOKです。

参考資料・出典
  • 厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業について」mhlw.go.jp
  • 厚生労働省「要介護(要支援)認定者数の推移」mhlw.go.jp
  • 日本リハビリテーション医学会「廃用症候群の予防と対策」

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体験談:リハビリで変わった3人のケース

👩
田原 明美さん(仮名)・57歳・自営業 要支援2の母(80歳)が通所リハビリで要支援1に改善

母が「足がふらつく」と言い始めて、介護認定を受けたら要支援2でした。通所リハビリを週2回始めてから3ヵ月後の更新審査で、なんと要支援1に改善されました。「悪くならなければいい」と思っていたのに、まさか改善するとは。「デイケアが楽しい」と言うようになって、外出する意欲も戻ってきました。早く始めてよかったと思っています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

👨
中川 賢二さん(仮名)・63歳・会社員 父(76歳)への訪問リハビリで1年以上在宅継続

父が脳梗塞後の後遺症で左側が不自由になり、「施設に入るしかないか」と思っていました。でもPTさんが週2回来てくれる訪問リハビリを始めてから、1年以上自宅生活を続けられています。「自宅のこの段差を越えるために」という具体的な目標があって、父も前向きに取り組んでいます。訪問リハビリは自宅の実際の環境でやってくれるのが大きい。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

👩
伊藤 京子さん(仮名)・68歳・パート 自身が大腿骨骨折後、老健での3ヵ月リハビリを経て自宅復帰

昨年の秋に転倒して大腿骨を骨折し、手術後に老健に入りました。「もう歩けないかもしれない」と思っていましたが、毎日PTさんと歩行訓練を続けて、3ヵ月で杖なしで歩けるようになりました。老健のリハビリは本当に密度が高くて、入院中のベッドでの安静よりずっと回復が早かったです。早めに老健に移れたことが良かったと思っています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

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よくある質問

リハビリをやめると元の状態に戻ってしまいますか?
維持できている機能は、リハビリをやめると徐々に低下していく可能性があります。ただし「やめる」ではなく「頻度を下げて自主練習に移行する」形が理想的です。理学療法士や作業療法士に「卒業後の自主トレーニングプログラム」を作ってもらい、日常生活に組み込むことで機能を維持できます。
要支援1・2でも訪問リハビリや通所リハビリは受けられますか?
受けられます。要支援1・2の方は「介護予防訪問リハビリ」「介護予防通所リハビリ(介護予防デイケア)」として利用できます。費用は介護保険1割負担が適用され、通所リハビリで1回あたり430〜1,000円程度が目安です。担当のケアマネジャーまたは地域包括支援センターに相談することで、ケアプランに組み込んでもらえます。
医療保険のリハビリと介護保険のリハビリは何が違いますか?
主な違いは目的と期間です。医療保険リハビリは「急性期・回復期」に集中的に機能を回復させることが目的で、一般的に上限があります。介護保険リハビリは「生活期・維持期」に在宅生活を継続するため機能を維持・向上させることが目的です。2019年から維持期・生活期リハビリは原則として介護保険に移行されました。両者は同時利用できない場合があるため、主治医やケアマネジャーに確認してください。

まとめ

今日から始める介護予防・リハビリ活用のポイント

  1. 「まだ元気」なうちから介護予防を始める——廃用症候群は気づかないうちに進む
  2. 要支援でも介護保険でリハビリが使える——地域包括支援センターへ相談するのが最初の一歩
  3. 訪問か通所かは状態と目的によって選ぶ——外出困難なら訪問、社会性維持なら通所
  4. 費用は1割負担で月1,000〜5,000円程度——高額介護サービス費の申請も忘れずに
  5. 自宅でできる体操を毎日の習慣に——週1回1時間より毎日10分が継続につながる

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療診断・個別のリハビリ処方・法律判断を行うものではありません。リハビリの開始・変更・中止については、必ず主治医・理学療法士・ケアマネジャー等の専門家にご相談ください。記事内の費用はあくまで目安であり、地域・施設・介護度によって異なります。
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