「申し訳ない」という罪悪感の正体と手放し方

ショートステイを勧めても「でも申し訳なくて……」と言う介護家族は非常に多いです。この「罪悪感」の正体は何でしょうか。多くの場合、それは「自分が介護すべきなのに、逃げている」という思い込みから来ています。

でも、少し考え方を変えてみてください。介護者が疲れ果てて倒れれば、在宅介護は続けられません。ショートステイは「逃げる」ことではなく、長期的に介護を続けるための補給線です。

❌ この考え方が罪悪感を生む

「自分が全部やらなければ家族への愛情が足りない」
「施設に預けるのは逃げることだ」
「本人が嫌がるならやめるべきだ」
「お金を使うのが申し訳ない」

✅ こう考えると楽になる

「私が休むことで、介護を長く続けられる」
「本人もプロのケアと他者との交流で生活が豊かになる」
「1泊2日の体験から始めれば、本人も慣れていく」
「介護保険を使う権利として堂々と使っていい」

💡 ショートステイを定期的に使っている介護家族は、使っていない家族より**介護継続期間が長い**という調査があります(厚生労働省研究班)。「使うこと」が長期的な在宅介護の支えになっています。
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岡田純子さん(仮名)・52歳・専業主婦 母(80歳・認知症・要介護3)を在宅介護中

最初にケアマネさんから「ショートステイを使ってみては」と言われたとき、私は「母を捨てるみたいで嫌です」と断ったんです。でも介護が2年目に入って自分が体を壊してしまって。やむなく使い始めたら、最初こそ「帰りたい」と電話がありましたが、3回目からは施設のスタッフさんと仲良くなって「また行く」と言い始めた。私も月に4日、本当に自分のことだけを考えられる時間が生まれて、母への接し方が全然変わりました。もっと早く使えばよかったと思っています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

初めてのショートステイ——失敗しない「慣らし方」

初めてのショートステイで「本人が大泣きした」「拒否が強くて使えなかった」という経験をすると、次が使いにくくなります。最初の体験を成功させることが、継続利用への鍵です。

段階的な慣らし方(推奨パターン)

初回ショートステイ成功のための5つのコツ
  • デイサービスと同じ施設を選ぶ:顔見知りのスタッフがいると、本人が安心しやすい。「いつものところでお泊まり」という感覚になる
  • 帰宅日をカレンダーに書く:「〇日(△曜日)に必ず迎えに来る」という約束を視覚化する。認知症の方はカレンダーを壁に貼って毎日確認してもらう
  • 好きなものを持たせる:枕・使い慣れたタオル・家族の写真・好きな音楽プレーヤーなど「家の匂い・記憶」を持ち込む
  • 施設スタッフに日常の情報を渡す:好きな食べ物・嫌いなこと・昼寝の習慣・呼ばれたい名前など、本人が「わかってもらえている」と感じるとなじみやすい
  • 介護者は帰宅後に「よかった点」を聞く:「ご飯は何を食べた?」「どんな人と話した?」など会話を引き出すことで、次回への前向きな記憶が作られる

施設選びのポイントと見学で確認すること

ショートステイの施設を選ぶとき、多くの家族が「近い」「空いている」「安い」だけで選んでしまいがちです。でも介護の質・本人の居心地は施設によって大きく異なります。初回利用前に必ず見学してください。

見学で確認すべき5つのポイント

こんな施設には注意:
・見学を断る・見せたがらない施設
・スタッフが利用者を呼び捨てにしている・大声で話しかけている
・「認知症の方はお断りです」と言うのに詳しい理由を説明しない
・緊急時の連絡先・対応について「ケースバイケース」としか答えない
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永田俊一さん(仮名)・58歳・自営業 父(83歳・要介護4)のショートステイ施設を3か所見学

最初に見学した施設は、スタッフが利用者を「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼んでいて、なんか嫌だなと感じました。3か所目の施設に行ったとき、スタッフが「永田さん、今日は体操がありますよ」と名前で呼んでいて、それだけで安心感が全然違った。値段も少し高かったけど、父が施設から帰ってきたとき「あそこのご飯はおいしかった」と言ったのを聞いて、あの施設にして正解だったと思いました。見学での「気になること」は全部聞いておくべきです。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

「迎えに来て」と電話が来たときの対応

初回・2回目のショートステイで、本人から「帰りたい」「迎えに来て」という電話がかかってくることはよくあります。このときどう対応するかが、ショートステイを継続できるかどうかを左右します

してはいけない対応

正しい対応

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佐々木由佳さん(仮名)・46歳・会社員(娘) 母(74歳・認知症初期・要介護2)のショートステイ2回目の体験

2回目のショートステイで「早く帰りたい。なんで来させるの」という電話が3回かかってきて、私も精神的に参ってしまって迎えに行ってしまいました。翌日ケアマネさんから「電話が来ても帰宅日まで待ってほしい。電話を切った後の母は普通に過ごしていましたよ」と言われて……。3回目は事前に施設に「電話が来たらスタッフさんが対応してください」とお願いしたら、母は一度も電話してこなかった。電話のたびに駆けつけるのが正解じゃないんだとわかりました。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

ショートステイ中に家族がすること・しないこと

ショートステイの時間は、介護者にとっての「回復の時間」です。この時間を最大限活かすために、何をするか・しないかを意識しましょう。

✅ するといいこと

睡眠を十分に取る(介護中にたまった睡眠不足を返す)
自分の健康診断・歯科・整形外科など後回しにしていた受診
友人と会う・外食する・旅行する
趣味・読書・映画など「自分のための時間」
介護に関係ない仕事・勉強に集中する

❌ しないほうがいいこと

頻繁に施設に電話して様子を確認する
「何かあったら」と常にスマホを気にする
施設に急に会いに行く(本人が落ち着きにくくなる)
「預けている罪悪感」を感じ続けて何もできない
施設への不満を家族内でふくらませる

💡 ショートステイ中に施設から連絡が来る場合は、体調急変・転倒などの緊急時です。「何かあれば施設から連絡がくる」と信頼して、家族は自分の時間に集中することが本人にとっても長期的にはプラスです。

まとめ

まとめ

  1. 「申し訳ない」という罪悪感の正体は思い込み。介護者が休むことが長期的な在宅介護継続につながる
  2. 初回は1泊2日から。帰宅日をカレンダーに書く・好きなものを持参・デイと同じ施設を選ぶで不安が激減する
  3. 施設選びは「名前で呼ぶか」「ショートと本入所で差がないか」「緊急時対応を説明できるか」の3点で見極める
  4. 「迎えに来て」という電話は、帰宅日を短く伝えて切る。毎回駆けつけると継続できなくなる
  5. ショートステイ中は本当に休む。頻繁な確認電話はしない。施設を信頼することが本人にとってもプラス
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参考・出典
  • 厚生労働省「短期入所生活介護・短期入所療養介護」→ mhlw.go.jp
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」→ mhlw.go.jp
  • 国立長寿医療研究センター「介護者のレスパイトケアに関する研究」
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。費用・制度の内容は時期・地域によって異なります。最新情報はケアマネジャーまたは各市区町村窓口にご確認ください。