負担限度額認定制度とは?

負担限度額認定制度とは、低所得の方が特養・老健などの介護施設に入所した際の食費・居住費を大幅に軽減する制度です。「補足給付」とも呼ばれます。介護保険サービス費の自己負担(1〜3割)とは別枠で申請が必要です。

特養や老健に入所すると、介護サービス費の自己負担に加えて、食費(1日約1,445円)と居住費(個室なら1日約2,006円)が別途かかります。これらは介護保険の給付対象外ですが、この制度を使うことで月3〜6万円の軽減が可能になります。

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田中美恵子さん(仮名)・64歳・専業主婦(長女) 母が特養(多床室)に入所して1年

入所が決まった時、費用の話でケアマネさんから「負担限度額認定証を申請してください」と言われたんですが、正直よく分からなくて後回しにしてしまったんです。1か月後に申請してみたら、月の食費・居住費が約4万円安くなっていて驚きました。あの1か月に申請しなかった分は戻ってこないと聞いて、もっと早く動けば良かったと後悔しています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

対象になる3要件を確認する

まず「自分(または親)は対象になるか」を3つの要件で確認してください。3つすべてに当てはまれば申請できます

✅ 要件①
本人が
住民税非課税
であること
✅ 要件②
配偶者(別居・世帯分離していても)も住民税非課税であること
✅ 要件③
預貯金等が段階ごとの上限額以下であること
⚠️ 要件②が見落とされやすい落とし穴です。本人が住民税非課税でも、配偶者が住民税課税の場合は原則として対象外になります。「同居していない」「世帯分離している」場合も、法律上の婚姻関係が続いている限り配偶者の課税状況が審査されます。

預貯金等の上限額(2026年現在)

段階 対象者の年金収入等 預貯金上限(単身) 預貯金上限(夫婦)
第1段階 生活保護受給者・老齢福祉年金受給者 1,000万円以下 2,000万円以下
第2段階 住民税非課税世帯で年金収入等80万円以下 650万円以下 1,650万円以下
第3段階① 住民税非課税世帯で年金収入等80万円超〜120万円以下 550万円以下 1,550万円以下
第3段階② 住民税非課税世帯で年金収入等120万円超 500万円以下 1,500万円以下
第4段階(対象外) 住民税課税世帯または預貯金が上限超過
💡 預貯金には現金・銀行口座残高・有価証券・投資信託・負債を差し引いた生命保険の解約返戻金なども含まれます。自宅などの不動産は含まれません。通帳の最新2か月分のコピーが申請時に必要になります。

月いくら安くなるか?節約額シミュレーション

「対象になりそう」と思ったら、実際にどれくらい安くなるか確認してみましょう。以下は特養(多床室)に入所した場合の比較です。

特養・多床室の場合(1か月30日換算)

段階 食費(月額) 居住費(月額) 合計 標準比の節約額
標準(第4段階) 43,350円 25,650円 約69,000円
第1段階 9,000円 0円 約9,000円 ▲約60,000円
第2段階 11,700円 11,100円 約22,800円 ▲約46,000円
第3段階① 19,500円 11,100円 約30,600円 ▲約38,000円
第3段階② 40,800円 11,100円 約51,900円 ▲約17,000円
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森田健一さん(仮名)・57歳・会社員(長男) 父が老健に入所。申請タイミングを後悔した経験

入所手続きに追われて、認定証の申請を入所から2か月後にしてしまいました。施設の方から「遡及適用はできない」と言われて、2か月分で約8万円が軽減されずに過ぎてしまいました。ケアマネさんに「入所前から準備できる書類だった」と後から聞いて、本当にもったいないことをしたと思っています。入所が決まったらすぐ動くべきでした。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

所得段階と負担限度額一覧(2026年現在)

施設の種類によって居住費の区分が異なります。入所予定の施設の部屋タイプに合わせて確認してください。

段階 食費
(日額)
ユニット型
個室(日額)
従来型
個室(日額)
多床室
(日額)
第1段階 300円 820円 490円 0円
第2段階 390円 820円 490円 370円
第3段階① 650円 1,310円 1,310円 370円
第3段階② 1,360円 1,310円 1,310円 370円
第4段階(基準額) 1,445円 2,006円 1,668円 855円

申請の5ステップ

申請は住所地の市区町村(介護保険担当窓口)で行います。入所前または入所が決まった時点で動き始めるのが理想です。

1
市区町村の窓口またはHPで申請書を入手する
「介護保険負担限度額認定申請書」という書類です。電話で事前確認すると持参書類をまとめて教えてもらえます。施設のソーシャルワーカーやケアマネジャーに相談するとサポートしてもらえる場合があります。
2
必要書類を準備する
①介護保険被保険者証、②本人・配偶者の預貯金通帳コピー(直近2か月分)、③有価証券・投資信託・保険の解約返戻金証明書(該当する場合)、④マイナンバーカード等の本人確認書類。
3
市区町村の介護保険担当窓口に提出する
郵送対応している自治体もあります。不備があると返戻されるため、窓口で直接確認しながら提出するのが確実です。
4
認定証が郵送で届く(2〜4週間程度)
「介護保険負担限度額認定証」が送られてきます。有効期間は申請月の翌月から毎年7月31日までです。届いたらすぐに施設に提示してください。
5
施設に認定証を提示する。毎年7月に更新を忘れずに
更新案内が届かない自治体もあります。毎年7月前後に「更新が必要か」を確認する習慣をつけましょう。更新が途切れると8月から軽減がなくなります。

対象となる施設・サービス

負担限度額認定証を提示することで軽減が適用される施設・サービスは以下のとおりです。

⚠️ 対象外の施設があります。有料老人ホーム・グループホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は対象外です。これらの費用軽減には高額介護サービス費など別の制度を検討してください。

見落としやすい注意点

世帯分離すれば対象になれる?

「世帯分離をすれば自分だけ住民税非課税になれる」と聞いて相談に来る方がいます。たしかに世帯分離によって本人の世帯が非課税になれば対象になる可能性はありますが、注意点もあります。

「世帯分離すると得か損か」は個々の収入・保険料の状況によって異なります。市区町村の窓口で総合的に相談してから判断することをお勧めします。

高額介護サービス費と組み合わせると最強

負担限度額認定(食費・居住費の軽減)と高額介護サービス費(介護サービス費自己負担の月額上限)は別の制度で、両方同時に申請・利用できます。2つを組み合わせることで介護費用全体を最大限に抑えることができます。

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大野恵美さん(仮名)・61歳・パート(長女) 母を特養に入所させて2年、2制度を活用中

ケアマネさんに「2つの制度を合わせると月8〜9万円の節約になりますよ」と言われてもピンとこなかったんですが、実際に計算してみたら本当にそうでした。負担限度額認定で食費・居住費を減らして、高額介護サービス費でサービス費の上限を設けて。申請は少し手間ですが、年間で100万円近く違ってくるのでやらない手はないですよね。更新の時期だけ気をつけています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

まとめ:申請前に確認する5つのこと

  1. 本人・配偶者ともに住民税非課税か確認する(配偶者が別居でも要確認)
  2. 預貯金等が段階ごとの上限額以下かチェックする
  3. 入所が決まったら即申請。遡及適用は不可のため1日でも早く
  4. 認定証が届いたら施設へ提示し、毎年7月の更新を忘れない
  5. 高額介護サービス費との併用で介護費用全体を最小化する
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参考・出典
  • 厚生労働省「介護保険の給付(補足給付・負担限度額認定)」→ https://www.mhlw.go.jp/
  • 介護保険法 第51条の3(特定入所者介護サービス費の支給)
  • 厚生労働省「令和3年介護保険制度改正における負担限度額認定の見直し」
※ 費用・負担額は2026年時点の基準費用額をもとに算出した目安です。施設の種類・部屋タイプ・地域によって異なります。最新の情報は市区町村の介護保険担当窓口でご確認ください。