夜間介護の睡眠不足は介護者を壊す
「夜中に3回起こされた」「トイレの介助が1時間おきで、まとまって眠れた記憶がない」——在宅介護をしている家族から最もよく聞かれる訴えのひとつが、慢性的な睡眠不足です。
この記事は介護疲れで限界…燃え尽き症候群のサインと回復法の一部です。ご自身がつらいと感じている方は、こちらもあわせてお読みください。
睡眠不足は単に「眠い」だけでなく、判断力・集中力の低下、免疫機能の低下、うつ症状の悪化など、介護者の心身に深刻な影響を与えます。介護者が倒れれば介護も続けられません。夜の睡眠を守ることは、介護を続けるための最優先課題です。
夜中に起こされるのが怖くて、逆に眠れなくなってしまって。「また呼ばれるかも」ってずっとアンテナ張ってる感じで、浅い眠りばかりで。昼間は仕事しながら眠くてフラフラ、夜また介護して……これが毎日続いたとき、「もう無理だ」って初めて声に出して泣きました。でも当時は、夜間のサービスがあるって知らなかったんです。知っていれば、あんなに消耗しなかったと思う。
※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。
※実在の方の体験談ではありません。よくある状況をもとに編集部が構成した例です。
- まとまって4時間以上眠れない日が週3日以上ある
- 「また起こされるかも」と眠るのが怖い・寝つけない
- 日中の居眠り・ヒヤリとする運転や作業のミスが増えた
- イライラして、介護される本人につい当たってしまうことがある
- 頭痛・めまい・食欲低下など体の不調が続いている
3つ以上あてはまる場合、それは「がんばりが足りない」のではなく体制の限界サインです。この記事の「睡眠を確保する5つの方法」と「夜間対応サービス」を今日から検討してください。心の疲れが強い場合は介護うつを防ぐ方法も参考に。
夜中に起きる4つの原因と対処法
夜間に要介護者が起きてしまう原因は様々です。原因によって対処法が異なるため、まず「何が起きているか」を把握することが重要です。
▶ もっと詳しく:高齢者の夜間頻尿の原因と今夜からできる対策
介護者が睡眠を確保する5つの方法
睡眠不足からの回復——「眠れない」が続くとき
すでに睡眠不足が積み重なっている場合、「今夜からたくさん寝る」ことはできません。介護中の睡眠は、まとまった睡眠・短い仮眠・定期的なリセットの3つを組み合わせて、少しずつ取り戻していく形になります。
「寝だめ」だけでは戻らない
週末にまとめて眠れば回復すると思われがちですが、積み重なった睡眠不足は一度の長時間睡眠では戻りきらないと言われています。それよりも、毎日少しずつ確保できる時間を増やすほうが現実的です。夜に4時間のコアタイムを死守し、日中に短い仮眠を挟む。この積み重ねのほうが、体感としての回復は早くなります。
15〜20分の仮眠を味方につける
日中に眠気が強いときは、15〜20分程度の短い仮眠が有効とされています。横になれない場合は椅子に座ったままでもかまいません。ただし30分を超える仮眠や夕方以降の仮眠は、夜の寝つきを悪くすることがあるため避けたほうが無難です。デイサービスに送り出した直後の時間を、家事ではなく仮眠にあてるという選び方もあります。
介護者自身が受診する目安
次のような状態が続くときは、我慢せずご自身がかかりつけ医や心療内科を受診してください。介護者が体調を崩すと、介護そのものが続けられなくなります。
- 夜に眠る機会があっても2週間以上寝つけない、または途中で目が覚めて眠れない
- 日中の眠気で運転や調理が危険だと感じることがある
- 気分の落ち込み・涙が出る・何も楽しめない状態が続いている
- 頭痛・動悸・食欲不振などの体の不調が重なっている
受診の際は「眠れません」だけでなく、「介護で夜中に何回起こされ、何時間眠れているか」を具体的に伝えると、状況が正確に伝わります。1週間分でよいので、起こされた回数と眠れた時間をメモしておくと診察がスムーズです。心の疲れが強いときは介護うつを防ぐ方法、限界が近いと感じるときはレスパイトケアという休み方も合わせてご覧ください。
睡眠不足が続いて、親に大きな声を出してしまったときは、自分を責める前に親を怒鳴ってしまった・介護でイライラが止まらないときも読んでみてください。
夜間対応サービスを使う
在宅介護でも、夜間を専門に対応するサービスがあります。ケアマネジャーに相談することで利用できます。
夜間対応型訪問介護
夜間帯(22時〜翌6時)に訪問介護員が自宅を訪問し、排泄介助・体位変換などを行うサービスです。介護保険適用で、定期巡回と随時対応型があります。「夜中に定期的に来てもらえる」ため、介護者が毎回対応しなくてよくなります。
対象:要介護1〜5/時間帯:夜間帯(概ね22時〜翌6時)/費用:介護保険の1〜3割負担/内容:排泄介助、体位変換、緊急対応など。事業所が近くにないエリアもあるため、ケアマネに相談してください。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
昼夜問わず小刻みに訪問する「定期巡回」と、緊急時にコールで呼べる「随時対応」を組み合わせたサービスです。月単位の包括払いのため、1日複数回の訪問でも追加費用がかかりません。夜間の対応回数が多い場合は特に有効です。
▶ もっと詳しく:定期巡回・随時対応型訪問介護の費用と使い方
見守りグッズ・テクノロジーで負担を減らす
夜間介護の負担を大幅に下げるアイテムやサービスが普及しています。「毎回起きなくてもよい状況」を作ることが、介護者の睡眠確保の鍵です。
見守りカメラを入れる前は、物音がするたびに目が覚めて確認しに行ってたんです。でもカメラ設置後は、スマホで見れば済む。それだけで一晩に起き上がる回数が半分以下になりました。「ちゃんと寝てる」と確認できると、自分も安心して眠れるんですよね。
※実在の方の体験談ではありません。よくある状況をもとに編集部が構成した例です。
夫の夜間頻尿が毎晩4〜5回で、パートの仕事中も眠くてまともに働けなくなりました。限界を感じてケアマネに相談したら「夜間対応型訪問介護」を紹介してくれて。週4日、夜中の定期巡回に来てもらえるようになって、私が起きなくていい夜が増えました。見守りカメラも設置して、別室で眠りながらスマホで確認できるようになって。あの頃の自分に「助けを求めていい」と言ってあげたいです。
※実在の方の体験談ではありません。よくある状況をもとに編集部が構成した例です。
▶ もっと詳しく:介護見守りカメラの選び方とおすすめ活用法
夜間介護が限界なら施設入所も選択肢
夜間の介護負担が在宅継続を難しくしているケースは非常に多く、「夜間の対応が辛い」は施設入所を検討する正当な理由です。
特に認知症の夜間せん妄や頻繁な夜間起床がある場合、施設の夜間ケアに移行することで、要介護者本人も穏やかに眠れるようになるケースがあります。「施設に入れるのは逃げ」という罪悪感を手放し、選択肢として検討してみてください。
- グループホームは夜間スタッフが常駐しており、認知症の夜間対応に強い
- 特養は夜間も複数スタッフが対応。待機期間が長いため早めの申し込みを
- 有料老人ホームは夜間のナースコール対応が充実している施設も多い
- まずケアマネに「夜間の介護が限界です」と正直に伝えることが第一歩
まとめ
夜間介護と睡眠確保のポイント
- 原因(頻尿・せん妄・昼夜逆転・痛みなど)を特定して対処する
- 「連続4時間の睡眠」を最低ラインとして死守する
- 別室就寝+見守りセンサーで完全に起きなくてもよい環境を作る
- 夜間対応型訪問介護・定期巡回サービスを活用する
- ショートステイで定期的にまとまった休息を取る
- 限界なら施設入所も正当な選択肢と知っておく
夜間介護の辛さを「仕方ない」と一人で抱え込まないでください。使えるサービス・制度は必ずあります。まずケアマネジャーに「夜が辛い」と伝えることから始めましょう。
- 厚生労働省「夜間対応型訪問介護について」→ https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」→ https://www.mhlw.go.jp/