訪問入浴介護とは——専用浴槽を持参する3名チームのサービス
「もう何週間もお風呂に入れていない」——自宅で介護をしている家族から、最もつらい告白のひとつとして聞く言葉です。浴槽をまたぐ力がない、浴室が狭くて介助できない、転倒が怖い…。家族が何とかしたいと思いながらも、どうにもできずにいる状況です。
そこで使えるのが訪問入浴介護です。事業者のスタッフが折りたたみ式の専用浴槽(ポータブルバス)を車に積んで自宅に訪問し、お風呂に入れないご本人を自宅で安全に入浴させてくれるサービスです。
ポイントは「看護師1名+介護職員2名の3名体制」という点。医療的な安全確認ができる看護師が同行しているため、心臓や血圧に不安がある方でも、バイタルチェックをしながら安全に入浴できます。
- 持参するもの:専用のポータブルバス(組み立て式浴槽)+湯を沸かす給湯機材
- スタッフ:看護師1名+介護職員2名の計3名が基本(事業者により異なる)
- 所要時間:全工程で約45〜60分
- 対象:要介護1〜5(要支援1・2は介護予防訪問入浴介護として利用可)
- 自宅の浴室:不要(十分なスペースとお湯の供給があればOK)
当日の流れを知っておく
初めて利用する前に「どんな人が来て、何をするのか」がわかると、本人も家族も安心できます。1回の訪問は概ね次の4段階で進みます。
入浴中は看護師が体調を観察し続けます。お湯の温度・入浴時間・体位なども本人の状態に合わせて調整されます。終了後には「今日の様子」を家族に直接報告してくれるため、日々の体の変化を把握できるという副次的なメリットもあります。
発熱・体調不良・バイタル異常があれば、当日でも入浴を中止して「清拭(体を温かいタオルで拭くだけ)」に切り替えることが可能です。この場合も費用は発生しますが、無理に入浴させることはありません。事前に事業者に確認しておくと安心です。
3つの入浴サービスを比較——どれが合うか一目でわかる
「入浴を助けてもらう」サービスは1種類ではありません。ご本人の状態や家の環境によって、最適な選択肢が変わります。
- 浴室がない・狭い自宅でも利用可
- 重度の麻痺・骨折後遺症がある方に最適
- 看護師同行で医療的安全確認あり
- 寝たきりに近い状態でも全身浴が可能
- 1回約1,260円(1割)
- 自宅に浴室・浴槽がある前提
- 介護職員1〜2名が介助
- 軽〜中度の方に向いている
- 訪問入浴より費用が低め
- 浴槽の形・浴室の広さに制約あり
- 大型浴槽・機械浴など設備が充実
- 入浴だけでなく食事・交流もできる
- 外出・社会参加の機会になる
- 移送・送迎が必要
- 閉じこもり予防に効果的
自宅の浴槽が古い・狭い・段差が大きいなどの場合、訪問介護での入浴介助は難しいことがあります。「浴槽に入れない」状態が続いているなら、訪問入浴介護への切り替えをケアマネジャーに相談してください。
費用と介護保険の適用
訪問入浴介護は介護保険サービスの対象のため、認定段階に応じて1割(または2〜3割)の自己負担で利用できます。
| サービス種類 | 1回あたりの基本単位数 | 自己負担(1割)目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 訪問入浴介護(要介護1〜5) | 1,260単位 | 約1,260〜1,317円 | 地域区分により若干変動 |
| 介護予防訪問入浴介護(要支援1・2) | 855単位 | 約855〜893円 | 月4回まで利用可能が目安 |
| 清拭のみに切り替えた場合 | 所定の7割 | 約882〜922円 | バイタル異常で中止した際も費用は発生 |
週2回利用した場合、月約8回となり自己負担は月1万〜1万1,000円程度が目安です。これに加えて日常生活費・交通費などはかかりません(入浴介護サービス自体に含まれているため)。
訪問入浴+他のサービスで月の費用が増えてきたら
複数のサービスを組み合わせると月の自己負担がかさむことがあります。保険の見直しで介護費用の不足分をカバーする方法を、FPへの無料相談で確認してみましょう。相談料0円、強引な勧誘なし。
🛡️ 保険マンモスに無料相談する(0円)→利用を始めるまでの手順
訪問入浴介護を使い始めるまでの流れは、他の介護保険サービスと同じです。初めての方でも、次の5ステップで申し込みできます。
-
介護認定を受ける(まだの場合)
市区町村の介護保険窓口または地域包括支援センターに申請します。申請から認定まで約1ヵ月。すでに要介護・要支援の認定がある方はSTEP2へ。 -
ケアマネジャーに相談する
居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)に「訪問入浴介護を使いたい」と伝えます。ケアマネジャーがいない場合は地域包括支援センターに相談を。 -
ケアプランに組み込んでもらう
ケアマネジャーが月の利用回数・他サービスとのバランスを考えてケアプランを作成します。要介護度ごとの区分支給限度額内で調整されます。 -
事業者と契約・事前訪問
契約前に担当者が自宅を訪問し、浴室の有無・搬入経路・本人の状態を確認します。不安なことはこの時点で全部聞いておきましょう。 -
利用開始
決まった曜日・時間にスタッフが訪問します。初回は特に緊張する方が多いので、家族が立ち会えると安心です。
「体が心配」という不安を先回り解消
「心臓が弱いけど大丈夫?」「高血圧でも入れる?」「皮膚に傷があるけど」——訪問入浴を躊躇させる不安の多くは、バイタルチェック体制を知れば解消します。
| 心配なこと | 対応・判断基準 |
|---|---|
| 心疾患・不整脈がある | 訪問前に主治医に「入浴可能か」を確認してもらい、事業者に伝える。看護師が毎回脈拍を確認し、異常があれば中止。 |
| 血圧が高い | 収縮期血圧180mmHg以上などの場合は入浴を中止する基準が一般的。毎回測定するため見落としがない。 |
| 発熱・体調が悪そうな日 | 37.5℃以上の場合は入浴中止・清拭対応に切り替え。感染症の疑いがある場合も同様。 |
| 床ずれ(褥瘡)・皮膚に傷がある | 入浴によって清潔が保たれるため、多くの場合むしろ推奨される。看護師が状態を観察し、必要なら主治医に報告。 |
| 認知症で暴れてしまう不安 | 3名体制で安全に対応。事業者に事前に状態を伝えておくことで、本人が安心できる声かけ方法を準備してもらえる。 |
不安なことがあれば、事前訪問のときに担当者へ直接伝えてください。「こういう状態のときはどうしますか?」と具体的に聞くことで、実際に始まってからの安心感が大きく変わります。
「訪問入浴だけで足りているか不安」「他にどんなサービスを組み合わせればいいか」——在宅介護を続けながらも、サービスの最適な組み合わせを専門のケアマネジャーに相談することで、本人にも家族にも余裕が生まれます。
在宅ケア相談(PR)→体験談:訪問入浴で変わった3人のケース
父が脳梗塞で片麻痺になってから、入浴が全くできなくなっていました。体を拭くだけの日々が続いて、本人も「お風呂に入りたい」と何度も言っていたんです。訪問入浴を始めてから、湯船に入った日の父の顔が全然違う。「気持ちよかった」と初めて笑顔を見せてくれました。お風呂って、体だけじゃなくて心も洗うものなんだと改めて思いました。
※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。
母は心臓の手術歴があって、デイサービスで「入浴は安全上お断りしています」と言われてしまいました。途方に暮れていたときにケアマネさんから訪問入浴介護を教えてもらいました。看護師さんがバイタルを確認してくれるので、むしろデイより安心感があります。「今日の血圧が少し高かったので清拭にしました」と報告してくれることで、私も母の体の変化を把握できています。
※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。
夫は大きくて体重もあって、私一人での入浴介助が本当につらかった。腰を痛めて、「これ以上続けたら私が先に倒れる」と思い始めていました。訪問入浴にしてから、私は横で見ているだけでいい。プロ3人がてきぱきと動いてくれて、夫もリラックスして入っています。「介護している私を助けるサービスでもある」と気づいたのが一番の発見でした。
※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。
- 厚生労働省「介護保険サービス事業所・施設の概要」mhlw.go.jp
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」mhlw.go.jp