在宅介護サービス

訪問入浴サービスとは|費用・当日の流れ・3サービスの違いをわかりやすく解説

この記事でわかること
スタッフ体制
3名
看護師1名+介護職員2名
が毎回訪問する
1回の自己負担(1割)
約1,260円
週2回利用で月1万円程度
(別途食費・雑費なし)
1回の所要時間
約60分
搬入〜後片付けまで
全工程の目安
目次
  1. 訪問入浴介護とは——専用浴槽を持参する3名チームのサービス
  2. 当日の流れを知っておく
  3. 3つの入浴サービスを比較——どれが合うか一目でわかる
  4. 費用と介護保険の適用
  5. 利用を始めるまでの手順
  6. 「体が心配」という不安を先回り解消
  7. 体験談:訪問入浴で変わった3人のケース
  8. エリアから訪問入浴事業者を探す
  9. よくある質問
  10. まとめ

訪問入浴介護とは——専用浴槽を持参する3名チームのサービス

「もう何週間もお風呂に入れていない」——自宅で介護をしている家族から、最もつらい告白のひとつとして聞く言葉です。浴槽をまたぐ力がない、浴室が狭くて介助できない、転倒が怖い…。家族が何とかしたいと思いながらも、どうにもできずにいる状況です。

そこで使えるのが訪問入浴介護です。事業者のスタッフが折りたたみ式の専用浴槽(ポータブルバス)を車に積んで自宅に訪問し、お風呂に入れないご本人を自宅で安全に入浴させてくれるサービスです。

ポイントは「看護師1名+介護職員2名の3名体制」という点。医療的な安全確認ができる看護師が同行しているため、心臓や血圧に不安がある方でも、バイタルチェックをしながら安全に入浴できます。

訪問入浴介護の基本情報
  • 持参するもの:専用のポータブルバス(組み立て式浴槽)+湯を沸かす給湯機材
  • スタッフ:看護師1名+介護職員2名の計3名が基本(事業者により異なる)
  • 所要時間:全工程で約45〜60分
  • 対象:要介護1〜5(要支援1・2は介護予防訪問入浴介護として利用可)
  • 自宅の浴室:不要(十分なスペースとお湯の供給があればOK)

当日の流れを知っておく

初めて利用する前に「どんな人が来て、何をするのか」がわかると、本人も家族も安心できます。1回の訪問は概ね次の4段階で進みます。

STEP 1 ▸ 10〜15分 🚐
準備・搬入
浴槽・給湯設備を搬入し部屋に設置。お湯を張り、室温を整える
STEP 2 ▸ 5〜10分 🩺
バイタルチェック
看護師が血圧・体温・脈拍を確認。基準値超えは清拭に切り替え
STEP 3 ▸ 20〜30分 🛁
入浴介助
2名の介護職員が身体を洗い、浴槽に移乗してゆっくり入浴。皮膚の状態も確認
STEP 4 ▸ 10〜15分 📋
後片付け・記録
浴槽を解体・撤収し、部屋を元通りに。体調・皮膚状態を記録し家族へ報告

入浴中は看護師が体調を観察し続けます。お湯の温度・入浴時間・体位なども本人の状態に合わせて調整されます。終了後には「今日の様子」を家族に直接報告してくれるため、日々の体の変化を把握できるという副次的なメリットもあります。

ℹ️ 体調が悪い日は当日キャンセルできる
発熱・体調不良・バイタル異常があれば、当日でも入浴を中止して「清拭(体を温かいタオルで拭くだけ)」に切り替えることが可能です。この場合も費用は発生しますが、無理に入浴させることはありません。事前に事業者に確認しておくと安心です。

3つの入浴サービスを比較——どれが合うか一目でわかる

「入浴を助けてもらう」サービスは1種類ではありません。ご本人の状態や家の環境によって、最適な選択肢が変わります。

訪問入浴介護
専用浴槽を持参
  • 浴室がない・狭い自宅でも利用可
  • 重度の麻痺・骨折後遺症がある方に最適
  • 看護師同行で医療的安全確認あり
  • 寝たきりに近い状態でも全身浴が可能
  • 1回約1,260円(1割)
💡 向いている方:外出困難・重度介護・医療的配慮が必要な方
訪問介護の入浴介助
自宅の浴槽を使用
  • 自宅に浴室・浴槽がある前提
  • 介護職員1〜2名が介助
  • 軽〜中度の方に向いている
  • 訪問入浴より費用が低め
  • 浴槽の形・浴室の広さに制約あり
💡 向いている方:浴室が使える・自立度がある程度高い方
通所入浴(デイサービス)
施設に通って入浴
  • 大型浴槽・機械浴など設備が充実
  • 入浴だけでなく食事・交流もできる
  • 外出・社会参加の機会になる
  • 移送・送迎が必要
  • 閉じこもり予防に効果的
💡 向いている方:外出できる・孤立予防も兼ねたい方
⚠️「訪問介護でできる」と言われたが実際は難しかった——というケース
自宅の浴槽が古い・狭い・段差が大きいなどの場合、訪問介護での入浴介助は難しいことがあります。「浴槽に入れない」状態が続いているなら、訪問入浴介護への切り替えをケアマネジャーに相談してください。

費用と介護保険の適用

訪問入浴介護は介護保険サービスの対象のため、認定段階に応じて1割(または2〜3割)の自己負担で利用できます。

サービス種類 1回あたりの基本単位数 自己負担(1割)目安 備考
訪問入浴介護(要介護1〜5) 1,260単位 約1,260〜1,317円 地域区分により若干変動
介護予防訪問入浴介護(要支援1・2) 855単位 約855〜893円 月4回まで利用可能が目安
清拭のみに切り替えた場合 所定の7割 約882〜922円 バイタル異常で中止した際も費用は発生

週2回利用した場合、月約8回となり自己負担は月1万〜1万1,000円程度が目安です。これに加えて日常生活費・交通費などはかかりません(入浴介護サービス自体に含まれているため)。

費用をさらに抑えられる制度——申請しないと損します
高額介護サービス費:1ヵ月の介護保険自己負担の合計が上限を超えた場合、超過分を払い戻してもらえます。他のサービスも使っている場合はとくに確認を。
補足給付(特定入所者介護サービス費):低所得世帯は居住費・食費の一部を補助してもらえます。訪問入浴は直接対象外ですが、施設利用との組み合わせで全体費用を抑える参考に。
医療費控除(確定申告):訪問入浴介護の自己負担額は医療費控除の対象になります。年間の医療・介護費合計が10万円を超えた場合、確定申告で税金が還付されます。
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利用を始めるまでの手順

訪問入浴介護を使い始めるまでの流れは、他の介護保険サービスと同じです。初めての方でも、次の5ステップで申し込みできます。

「体が心配」という不安を先回り解消

「心臓が弱いけど大丈夫?」「高血圧でも入れる?」「皮膚に傷があるけど」——訪問入浴を躊躇させる不安の多くは、バイタルチェック体制を知れば解消します。

心配なこと 対応・判断基準
心疾患・不整脈がある 訪問前に主治医に「入浴可能か」を確認してもらい、事業者に伝える。看護師が毎回脈拍を確認し、異常があれば中止。
血圧が高い 収縮期血圧180mmHg以上などの場合は入浴を中止する基準が一般的。毎回測定するため見落としがない。
発熱・体調が悪そうな日 37.5℃以上の場合は入浴中止・清拭対応に切り替え。感染症の疑いがある場合も同様。
床ずれ(褥瘡)・皮膚に傷がある 入浴によって清潔が保たれるため、多くの場合むしろ推奨される。看護師が状態を観察し、必要なら主治医に報告。
認知症で暴れてしまう不安 3名体制で安全に対応。事業者に事前に状態を伝えておくことで、本人が安心できる声かけ方法を準備してもらえる。

不安なことがあれば、事前訪問のときに担当者へ直接伝えてください。「こういう状態のときはどうしますか?」と具体的に聞くことで、実際に始まってからの安心感が大きく変わります。

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体験談:訪問入浴で変わった3人のケース

👩
渡辺 洋子さん(仮名)・65歳・主婦 脳梗塞後遺症の父(91歳)に訪問入浴を導入

父が脳梗塞で片麻痺になってから、入浴が全くできなくなっていました。体を拭くだけの日々が続いて、本人も「お風呂に入りたい」と何度も言っていたんです。訪問入浴を始めてから、湯船に入った日の父の顔が全然違う。「気持ちよかった」と初めて笑顔を見せてくれました。お風呂って、体だけじゃなくて心も洗うものなんだと改めて思いました。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

👨
三浦 浩司さん(仮名)・58歳・会社員 心疾患のある母(84歳)がデイサービスの入浴を断られ訪問入浴に切り替え

母は心臓の手術歴があって、デイサービスで「入浴は安全上お断りしています」と言われてしまいました。途方に暮れていたときにケアマネさんから訪問入浴介護を教えてもらいました。看護師さんがバイタルを確認してくれるので、むしろデイより安心感があります。「今日の血圧が少し高かったので清拭にしました」と報告してくれることで、私も母の体の変化を把握できています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

👩
高橋 千代さん(仮名)・71歳・パート 夫(75歳)の入浴介助が限界で訪問入浴を導入

夫は大きくて体重もあって、私一人での入浴介助が本当につらかった。腰を痛めて、「これ以上続けたら私が先に倒れる」と思い始めていました。訪問入浴にしてから、私は横で見ているだけでいい。プロ3人がてきぱきと動いてくれて、夫もリラックスして入っています。「介護している私を助けるサービスでもある」と気づいたのが一番の発見でした。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

参考資料・出典
  • 厚生労働省「介護保険サービス事業所・施設の概要」mhlw.go.jp
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」mhlw.go.jp

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よくある質問

訪問入浴介護はどんな人が対象ですか?
介護保険の要介護1〜5の認定を受けた方が基本的な対象です。「自宅での入浴が困難」な状態、つまり自力で浴槽に入れない・入浴中の転倒リスクが高いなどが利用の目安です。要支援1・2の方も「介護予防訪問入浴介護」として利用できる場合があります。担当ケアマネジャーまたは地域包括支援センターに相談するのが最初の一歩です。
心臓や血圧が心配ですが、訪問入浴は安全ですか?
訪問入浴介護は「看護師1名+介護職員2名」の3名体制が基本です。入浴前にバイタルサイン(血圧・体温・脈拍)を毎回確認し、基準値を超えた場合は入浴を中止して清拭(体を拭くだけ)に切り替えます。心疾患・高血圧がある方でも、主治医の許可があれば多くの場合利用できます。利用前に主治医に確認し、状態を事業者に伝えておくと安心です。
訪問入浴と訪問介護の入浴介助は何が違いますか?
最大の違いは「専用浴槽を持参するか否か」です。訪問入浴介護は折りたたみ式の専用浴槽(ポータブルバス)を持参するため、自宅に浴室がない方や既存の浴槽では安全に入れない方でも全身浴が可能です。一方、訪問介護の入浴介助は自宅の浴槽を使うため、浴室の広さや浴槽の形状に制約があります。麻痺・骨折後遺症など重度の方には訪問入浴介護が向いています。

まとめ

訪問入浴介護を利用するために今日できること

  1. 「自宅でのお風呂が難しくなってきた」と感じたら——ケアマネジャーか地域包括支援センターへ相談する
  2. 心臓・血圧が心配でも大丈夫——看護師同行の3名体制で毎回バイタルを確認してくれる
  3. 3種類の入浴サービスの違いを理解する——重度なら訪問入浴介護、外出できるなら通所入浴という選択肢
  4. 費用は1割負担で週2回なら月1万円程度——高額介護サービス費の申請も忘れずに
  5. 入浴は清潔だけでなく尊厳と心の安定のためにある——「入れてあげたい」その気持ちを制度が支えてくれる

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の利用可否・医療判断・費用の確定を行うものではありません。訪問入浴介護の利用開始・変更については、必ず担当ケアマネジャー・主治医・各事業者にご確認ください。費用は2024年度介護報酬を基準にした目安であり、地域区分・事業者により異なります。
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