なぜ施設は身元保証人を求めるのか

多くの老人ホームでは、入居時に「身元保証人」や「身元引受人」を求められます。配偶者に先立たれ、子どももいない「おひとりさま」や、家族と疎遠な方にとって、これは大きな壁に感じられます。

まず、施設が保証人を求める理由を知っておきましょう。理由がわかれば、「保証人の代わりに何を用意すればよいか」が見えてきます。

施設が身元保証人に期待する3つの役割
  • ① 費用の支払い保証……利用料の滞納が起きたときの連帯保証
  • ② 緊急時の連絡・意思決定……急な入院や治療方針など、本人に代わって連絡・判断する相手
  • ③ 亡くなった後の対応……退去手続き・私物の引き取り・葬儀などの「死後事務」

つまり保証人とは「お金・緊急時・死後」の3つをカバーする存在です。逆に言えば、この3つを別の仕組みで備えられれば、保証人がいなくても入居できるということです。

保証人がいなくても入居できる

結論として、身元保証人がいなくても施設に入居する方法はあります。近年は身寄りのない高齢者が増えていることを背景に、保証人を必須としない施設や、保証人の役割を代わりに担うサービス・制度が整ってきています。

厚生労働省も、「身元保証人がいないことだけを理由に施設が入居を拒むのは適切でない」という考え方を示しています。あきらめずに、次に紹介する対処法を検討しましょう。

💡 何から始めればいいかわからないときは、まず地域包括支援センター社会福祉協議会へ。どちらも公的・中立な相談先で、保証人がいない場合の選択肢を一緒に整理してくれます。

保証人がいない場合の5つの対処法

公的制度 ① 成年後見制度を利用する
役割 判断能力が低下した人に代わり、契約・財産管理・支払いを行う 費用 申立て費用+後見人への報酬(家庭裁判所が決定) 注意 後見人は契約代理はできるが、原則「連帯保証人」や「身柄引受人」にはなれない
向いている方:判断能力に不安がある/契約や財産管理を任せたい方
施設選び ② 保証人不要の施設を選ぶ
特徴 成年後見や身元保証サービスの利用を条件に、保証人なしを認める施設が増加 探し方 施設検索や相談窓口で「身元保証人なしで相談可」の施設を確認
向いている方:まず入れる施設の選択肢を広く知りたい方
民間サービス ③ 民間の身元保証サービスを使う
役割 保証人の代行・緊急時対応・死後事務などをまとめて引き受ける 費用 入会金・預託金・月額など(事業者により幅が大きい) 注意 契約トラブルの報告があり、内容と費用の事前確認が必須(後述)
向いている方:保証人・死後事務までまとめて備えたい方(慎重な比較が前提)
公的サービス ④ 社会福祉協議会の日常生活自立支援事業
役割 判断能力が不十分な方の福祉サービス利用援助・日常的な金銭管理を支援 費用 利用料は比較的低額(自治体・社協による)
向いている方:お金の管理や手続きに不安があり、公的な支援を受けたい方
相談窓口 ⑤ 地域包括支援センター・自治体に相談する
役割 状況に応じて成年後見・社協・施設探しなど適切な選択肢へつないでくれる 費用 相談は無料
向いている方:何から始めればいいかわからない、すべての方の最初の一歩

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全国の施設を検索し、保証人や入居条件は各施設・相談窓口に確認しながら進めましょう。

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民間の身元保証サービスの注意点

民間の身元保証サービスは便利ですが、契約トラブルが報告されており、消費者庁や国民生活センターが注意を呼びかけています。「保証人がいないから」と急いで契約すると、思わぬ負担を抱えることがあります。

⚠️ こんなトラブルが報告されています
・高額な預託金(前払い金)を求められ、解約時に十分に返金されなかった
・預けたお金の管理方法が不透明だった
・死後事務の内容や追加費用が、契約後にわかりにくかった
契約前に必ず確認すること
  • 料金の総額と内訳……入会金・預託金・月額・死後事務費など、すべて書面で確認
  • 解約条件と返金ルール……途中解約したときにいくら返るかを明確に
  • 預けたお金の管理方法……事業者の財産と分けて管理されているか
  • 複数を比較する……1社で即決せず、内容と費用を見比べる
  • 公的窓口にも相談……契約前に地域包括・社協・消費生活センターに相談する
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相談から入居までの流れ

  1. 地域包括支援センター・社協に相談……保証人がいない事情を伝え、選択肢を整理する
  2. 備え方を決める……成年後見・社協の支援・民間身元保証サービスなどから選ぶ
  3. 保証人なしで相談できる施設を探す……検索・相談窓口で候補を集める
  4. 施設に条件を確認……保証人の代わりに何を求められるかを事前に確認
  5. 見学・面談……本人が可能なら一緒に見学し、契約内容を確認
  6. 契約・入居……支払い・緊急時連絡・死後事務の取り決めを明確にして入居
🧑
Dさん(仮名)・70代・おひとりさま 配偶者と死別、子どもがいないなかで自身の施設入居を準備

身寄りがないので「施設には入れないのでは」と長く不安でした。地域包括に相談したら、社会福祉協議会の支援と成年後見の準備を案内してもらえて。施設も「保証人なしで相談可」のところが見つかりました。早めに動いておくと、いざという時に慌てずに済むと実感しています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

まとめ:保証人がいなくても施設には入れる

  1. 施設が保証人に求めるのは「支払い・緊急時・死後対応」の3つ
  2. この3つを別の仕組みで備えれば、保証人がいなくても入居できる
  3. 選択肢は成年後見・保証人不要の施設・社協・民間身元保証サービスなど
  4. 民間サービスは契約トラブルに注意。費用と解約条件を書面で確認
  5. まず地域包括支援センター・社会福祉協議会に相談するのが安心の第一歩

保証人の相談ができる施設の候補を、まずは集めてみましょう。

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参考・出典
※ 本記事は、厚生労働省・国民生活センターなどの公的資料をもとに、よりそい介護編集部が作成した一般的な情報です。制度の運用・施設の対応・民間サービスの内容は変更される場合があります。具体的な判断は、地域包括支援センター・社会福祉協議会・消費生活センター等の専門窓口にご相談ください。
最終更新:2026年6月