ポータブルトイレが必要になるとき

「夜中に何度もトイレに連れていく」「廊下や階段の移動が危険になってきた」「間に合わないことが増えた」——在宅介護において夜間のトイレ介助は介護者の睡眠を大きく妨げる要因のひとつです。ポータブルトイレを寝室に設置するだけで、移動距離・転倒リスク・介護者の起床回数をまとめて減らせます。

こんな状況でポータブルトイレが役立ちます
①夜間のトイレ移動で介護者が何度も起きる ②廊下・段差の移動が転倒リスクになっている ③トイレまで間に合わないことがある ④体力低下で立ち上がりが困難になってきた ⑤夜間介護で昼間も眠れず限界を感じている
👩
小林幸枝さん(仮名)・62歳・専業主婦 夫(71歳・要介護2・脳梗塞後遺症)を在宅介護

夫が夜中にトイレに起きるたびに介助していたので、私もまともに眠れない日が続いていました。ケアマネさんに相談して、ベッドの横にポータブルトイレを置いてみたら…夜中の大変さが8割減りました。最初は夫も「そんなもの使いたくない」と言っていたのですが、転倒の危険がなくなってお互い安心して眠れるようになって、本人も「これでよかった」と言っています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

ポータブルトイレの種類と特徴

バケツ式(シンプルタイプ)
5,000〜15,000円
便座の下にバケツを入れるシンプルな構造。軽量で持ち運びやすい。処理は毎回バケツを外して行う。
◎ 安価・軽量・シンプル
▲ 処理が少し手間。臭いが出やすい
肘掛け付き洋式タイプ
10,000〜30,000円
立ち上がりをサポートする肘掛け付き。高さ調整できるものが多く、本人の体格に合わせられる。介護現場で最もよく使われるタイプ。
◎ 安全性が高い・使いやすい
▲ バケツ式より重い
温水洗浄便座タイプ
30,000〜80,000円
ウォシュレット機能付き。後始末の介助量が最も少ない。本人が清拭を自分でできるため、プライバシーが保てる。
◎ 本人の自立心を保てる
▲ 高価・電源が必要
水洗式タイプ
50,000〜150,000円
水を使って流す本格的なポータブルトイレ。臭いが最も少なく快適。設置工事が必要な場合もある。
◎ 臭いが少ない・快適性が高い
▲ 高価・水の補給・排水処理が必要

どのタイプを選ぶか判断チェック

4タイプから迷ったときは、以下のチェックを参考にしてください。

コストを最小に抑えたい/とにかく試してみたい バケツ式(5,000〜15,000円)から始めて様子を見るのがおすすめ。使い勝手が合わなければ次のステップへ。
立ち上がりが不安定・転倒が心配 肘掛け付き洋式タイプが安全。高さ調整機能付きを選ぶと体格に合わせられる。最もよく選ばれる標準的な選択
後始末の介助が大変・本人のプライバシーを大切にしたい 温水洗浄便座タイプ。自分で清拭できる期間が延び、介護者の負担も減る。予算に余裕があればおすすめ。
臭いが一番気になる・ほぼ一般のトイレと同じ感覚で使いたい 水洗式タイプ。費用は高いが快適性は最高。設置スペースと排水経路の確認が必要。
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失敗しない選び方5つのポイント

介護保険で9割補助を活用する

ポータブルトイレは介護保険の「特定福祉用具販売」の対象品目です。要介護1以上(要支援1〜2も対象)であれば、年間10万円を上限に購入費の9割(負担割合2割の方は8割)が支給されます。

特定福祉用具購入費の申請手順
  • ① ケアマネジャーに「ポータブルトイレを購入したい」と相談する
  • ② 指定の福祉用具販売店で購入する(指定外の店では補助が受けられない)
  • ③ 一旦全額を支払い、後から市区町村に申請して払い戻しを受ける(償還払い)
  • ④ 申請書類:領収書・販売証明書・受領委任状など(販売店が用意してくれる場合が多い)
  • ⑤ 申請から1〜2ヶ月で指定口座に振り込まれる
負担割合10万円の商品を購入した場合の自己負担支給額
1割負担の方10,000円90,000円
2割負担の方20,000円80,000円
3割負担の方30,000円70,000円
⚠️ 年間10万円の上限は、同じ年度内(4月〜翌3月)での累計です。入浴補助用具など他の特定福祉用具と合計して10万円が上限になります。複数品目を購入する場合はケアマネに優先順位を相談しましょう。

本人が「使いたくない」と言ったときの伝え方

「まだ自分でトイレに行ける」「そんなもの置きたくない」——ポータブルトイレは本人のプライドが傷つきやすい用品です。頭ごなしに勧めると反発を招くため、「安全のため」ではなく「本人が自分でできるため」という視点で伝えることが重要です。

シーン①:夜中に何度も起こされていることを伝えるとき
「こっちが大変だから使ってよ」
「夜中に私を起こさなくても一人でできるようになるんだよ。そのほうがお父さんも気が楽でしょ」
シーン②:転倒が心配だと伝えるとき
「もう一人でトイレに行かないでって何度も言ってるでしょ」
「転んで骨折したら入院になってしまう。これを置けば夜中も安全に一人でできるよ」
シーン③:見た目が気になって嫌がるとき
「介護用品だから仕方ないでしょ」
「最近はデザインがよくて、ぱっと見はただの椅子みたい。試しに置いてみるだけ置いてみようか」
💡 「試しに置いてみるだけ」が入り口として有効:いきなり「使ってください」と言うのではなく、「とりあえず置いておくだけ」から始めると本人の抵抗が下がりやすいです。ケアマネジャーに一緒に説明してもらうと、家族から言うより受け入れられやすい場合があります。

設置・使い方のコツと臭い対策

設置場所の選び方

臭い対策5つの実践法

体験談

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木下義雄さん(仮名)・75歳・元会社員 要介護2・心不全で歩行困難・自宅療養中

最初は「自分でトイレに行ける」という気持ちが強くて、娘から提案されたとき頑固に断りました。でも夜中に転倒して病院に運ばれてから考えが変わって。ポータブルトイレを枕元に置いてみたら、これが思ったより自分でできることが多くて、むしろ家族を呼ばなくていい分、気持ちが楽になったんです。最初の抵抗がなんだったのかと思うくらい。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

👩‍🦳
中村美和さん(仮名)・54歳・パート勤務 母(82歳・要介護3・転倒骨折後)の在宅介護

母が夜中にトイレへ行こうとして転倒し、大腿骨を骨折してしまったのがきっかけです。退院後は絶対に再発させたくなくて、ケアマネさんと相談して温水洗浄機能付きポータブルトイレを選びました。母が一人でできることが多く、私を起こさなくて済むのが本人にとっても気楽なようです。臭いは消臭袋を使うようになってほぼ解決しました。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

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よくある質問

ポータブルトイレは介護保険で買えますか?
はい、「特定福祉用具販売」の対象品目で、年間10万円まで9割(2割負担の方は8割)が支給されます。ケアマネジャーに相談し、指定の福祉用具販売店で購入することが条件です。
ポータブルトイレの臭いが気になります。対策はありますか?
消臭袋を使って袋ごと処分する方法が最も手軽です。消臭剤入りのバケツ、蓋付きモデルの選択、使用後すぐ蓋を閉める習慣、空気清浄機の併用で大幅に改善できます。水洗式タイプが最も臭いが少ない選択肢です。
ポータブルトイレはいくらで買えますか?
バケツ式で5,000〜15,000円、肘掛け付き洋式で10,000〜30,000円、温水洗浄便座付きで30,000〜80,000円が目安です。介護保険を使えば自己負担は1〜3割になります。
認知症の親にポータブルトイレを使ってもらうにはどうすればいいですか?
本人の尊厳を傷つけない言い方(「転ばないように便利な椅子型トイレ」など)で紹介し、使い方を一緒に確認することが大切です。外観が椅子に近いデザインを選ぶと受け入れやすい場合があります。担当ケアマネジャーに相談して本人への説明を一緒にしてもらうのも効果的です。
急いで今すぐポータブルトイレを用意したい場合はどうすればいいですか?
補助申請には日数がかかるため、緊急の場合はまず楽天市場やAmazonで自費購入して使い始め、後からケアマネジャーに相談して補助申請する方法もあります。ただし指定業者からの購入でないと補助が受けられないため、次回購入時には必ずケアマネジャーに事前確認を。
夜間だけポータブルトイレを使う場合の衛生管理のコツは?
夜間だけ使用する場合は翌朝に処理する方法で問題ありません。消臭袋に排泄物を入れて密封する方法が臭いを抑えながら手間を最小化できます。バケツ内に消臭剤入りの水を少量張っておくと朝の臭いが大幅に軽減されます。使用後すぐ蓋を閉める習慣も効果的です。

まとめ

ポータブルトイレ選び方のポイント

  1. 夜間のトイレ介助が増えてきたら、転倒を防ぐためにも早めに設置を検討する
  2. 迷ったら肘掛け付き洋式タイプ(1〜3万円)から。温水洗浄式は介助量が最も少ない
  3. 高さ調整・肘掛け・処理方式・蓋・洗いやすさの5点を確認して選ぶ
  4. 介護保険の特定福祉用具購入費で最大9割補助が受けられる(年10万円上限)
  5. 「家族のためでなく自分が一人でできるから」という視点で本人に伝える
  6. 消臭袋・消臭剤・蓋の活用で臭い問題は大幅に改善できる

「まだ大丈夫」と思いながら夜間の転倒事故が起きてから導入するケースも多い介護用品です。ケアマネジャーに「夜中のトイレが大変」と伝えるだけで、用具の選定からサービス調整まで一緒に考えてもらえます。一人で抱え込まずに早めに相談しましょう。

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参考・出典
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。介護保険の補助対象・手続き方法は地域によって異なる場合があります。ケアマネジャーまたは市区町村窓口にご確認ください。