介護費用のリアル——公的保険では足りない理由
親の介護を目の当たりにして「自分が介護になったらどうしよう」と考えた方は多いはずです。実際、介護はある日突然始まります。平均的な介護期間は約5年(61か月)とされており、その間の費用は決して小さくありません。
| 介護のシチュエーション | 月額費用の目安 | 5年間の合計目安 |
|---|---|---|
| 在宅介護(軽度) | 2〜5万円程度 | 120〜300万円 |
| 在宅介護(中〜重度) | 5〜10万円程度 | 300〜600万円 |
| 有料老人ホーム入居 | 10〜25万円程度 | 600〜1,500万円 |
| 特別養護老人ホーム | 4〜8万円程度(低所得者向け軽減あり) | 240〜480万円 |
公的介護保険はサービス費用の7〜9割を給付してくれますが、住居費・食費・日用品費・交通費などは自己負担です。また、要介護度が上がると自己負担分も増えます。在宅介護では家族の収入が減る(仕事を減らす・辞める)リスクも加わります。
40〜50代の「4つの備え」
介護への備えは大きく4つの柱で考えると整理しやすいです。すべてを今すぐ完璧にする必要はありませんが、何も準備しないまま介護が始まると、お金・時間・精神力すべてが一気に失われます。
- 老後・介護用の専用積み立て
- iDeCo・NISAの活用
- 親の資産・保険の把握
- 民間介護保険の必要性を確認
- 医療保険の保障内容を再確認
- 生命保険の過不足をチェック
- 親の保険証・病歴・薬情報の把握
- かかりつけ医の把握
- 財産・口座情報の確認
- 親の「介護への意向」を聞いておく
- 兄弟間で役割分担を決めておく
- 施設か在宅かの方針確認
お金の備え(貯蓄・資産形成)
介護費用の準備は「親の介護費用」と「自分の老後・介護費用」の2つを同時に考える必要があります。
親の介護費用の準備
- 親の資産・年金収入を把握する:介護費用は基本的に親の資産から出す。子が全額負担するケースは少ない
- 高額介護サービス費制度の活用:月の自己負担が一定額を超えると払い戻しが受けられる(所得に応じて上限が変わる)
- 高額医療・高額介護合算制度:医療費と介護費の合計が上限を超えた場合に払い戻しを受けられる
自分の老後・介護費用の準備
- iDeCo(個人型確定拠出年金):掛け金が全額所得控除。老後資金を税メリットを受けながら積み立てられる
- NISA(少額投資非課税制度):運用益が非課税。年360万円まで投資できる(2024年〜新NISA)
- 目安の積み立て額:月2〜3万円を40代から始めると、60代までに500〜700万円を積み立てられる(運用次第)
保険の見直し——民間介護保険は必要か
民間介護保険は「要介護状態になったときに一時金または年金を受け取れる」保険です。公的介護保険の自己負担部分や施設の費用を補う目的で使います。
- 貯蓄が少なく、介護費用をカバーできる資産がない
- 施設への入居を視野に入れている(月10万円以上の費用に備えたい)
- 子どもに経済的な負担をかけたくない
- 独身・配偶者が先に亡くなっており、家族の介護を受けにくい状況
一方、十分な資産・退職金があり、公的保険でカバーできる見込みがあれば、民間保険に頼らずに済む場合もあります。保険の必要性は個人の状況によって大きく異なるため、ファイナンシャルプランナー(FP)への相談が有効です。
親の情報を把握しておく
介護が突然始まったとき、「どこの病院にかかっていたか」「保険証はどこか」「口座はどこの銀行か」が分からないと、何もできない状態に陥ります。元気なうちに情報を把握しておくことが、介護準備で最もすぐに役立つ行動です。
-
1かかりつけ医・病院情報をメモする 病院名・診療科・主治医名・診察券番号・お薬手帳の保管場所。複数の病院があればすべて把握しておく。
-
2保険情報を整理する 公的介護保険証・健康保険証のほか、加入している民間保険の証券番号・連絡先。「保険に入っていたかどうか」を子が把握していないケースは多い。
-
3銀行口座・年金情報を確認する メインの口座・年金振込口座。認知症が進むと本人が管理できなくなるため、早めに把握しておく。成年後見制度や家族信託の検討も。
-
4「もしもの時の意向」を聞いておく 延命治療をどう考えるか・施設に入ることへの考え・財産の分け方の希望など。本人が元気なうちにしか聞けない情報。
家族で「介護方針」を話し合う
介護が始まってから兄弟間で揉めるケースの多くは、事前に何も決めていなかったことが原因です。「介護の話は縁起でもない」と先送りしがちですが、元気なうちの話し合いが将来の家族関係を守ります。
- 誰が主担当になるか:同居・近居の有無、仕事の状況から決める
- 費用の分担:兄弟間での費用の出し方(按分・主担当が多めに負担するか等)
- 在宅か施設か:本人の希望を含めた方針。重度化した場合の考え方も
- 離れて暮らす兄弟の関わり方:帰省の頻度・金銭的サポートなど
- 緊急連絡体制:親に何かあったとき、誰に最初に連絡するか
家族の介護費用について整理したついでに、自分の保険も一緒に見直しませんか。
FPに無料相談する(PR)→体験談
母の介護で実際にどれだけお金がかかるか、身に染みて分かりました。在宅でヘルパーを使うだけで月に5万円以上。「私が介護になったら子どもに同じ思いをさせたくない」と思って、FPに相談して民間の介護保険に入り直しました。40代のうちに相談に行ったので、まだ保険料も抑えられた。後回しにしなくて良かったと心から思っています。
※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。
父が倒れた時、どの病院にかかっていたか、保険証がどこにあるか、口座がどこにあるか、何一つ分からなくて。救急車に乗りながら弟に電話して、母に聞いて……という大混乱でした。その後、親の情報をノートにまとめることにしたんですが、やっぱり「元気なうちに聞けば良かった」という内容が多かった。介護の準備って、介護が始まる前にやるものだと思いました。
※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。
母の介護が始まった時、私たち3兄妹は比較的スムーズに動けました。実は2年前に母の誕生日の食事会で「もし介護になったら」という話をしていたんです。「費用は平等に出す、主担当は一番近くに住む私が担う、月1回は全員で集まる」と決めていた。完璧じゃないけど、何も決めていないよりずっと良かったです。
※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。
よくある質問
まとめ
- 介護費用は平均5年で数百万円。公的保険だけでは不足する部分がある
- 40〜50代は「お金・保険・手続き・家族対話」の4つの備えを今のうちに始める
- 民間介護保険の必要性は個人の状況によって異なる。FPに相談して判断する
- 親の医療・保険・銀行情報は元気なうちに把握しておく。急な介護で大差が出る
- 家族間の役割・費用分担は事前に話し合う。介護が始まってからでは手遅れ
- 民間介護保険は40〜50代の加入が保険料・加入条件の面で最も有利
- 生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2021年)」→ jili.or.jp
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」→ mhlw.go.jp